声楽家など歌手の方でアレクサンダーテクニークを学びに来られる方は多いです。
歌うことと体の使い方は密接に関わっているからです。
今回は、どうして歌手がアレクサンダーテクニークを学ぶのか?歌手にどのようにアレクサンダーテクニークが役立つのかについてお伝えします。
この記事を書いている土橋はこれまで1,000人以上の音楽家、歌手の方にアレクサンダーテクニークのレッスンを行ってきました。
Contents
歌手の悩み
歌手の方の悩みとしてこれまで以下のようなものをお聞きしてきました。
- 高い声を出すとき喉を力んでしまう
- 本番で力んでしまい思うような声が出ない
- 歌った後に喉が痛くなる
- 歌った後に腰が痛くなる
- 低音から高音の移行が上手く歌えない
- 声量が足りない
- 息が長く続かない
あなたにも当てはまるものがありましたか?
アレクサンダーテクニークはこのような歌うことに関するあらゆる悩みの改善に役立ちます。
なぜなら歌うことは、呼吸することであり、呼吸とは全身を使った運動だからです。
なぜアレクサンダーテクニークがあらゆる歌うことの悩みの改善に役立つのかをみていきます。
アレクサンダーテクニークが歌うことに役立つ理由
アレクサンダーテクニークは姿勢や身体の使い方のレッスンです。
姿勢や体の使い方がどのように歌うことに関係するのかをみていきます。
https://body-use.com/alexandertecnique/
歌うことは、息を吐くことです。
そもそも息を効率的に吐くことが出来なければ、歌う為のあらゆるテクニックは行うのが難しくなります。
歌うことのどのような悩みであれ、息を吐くということがスムーズに行えるかということが関わっています。
姿勢や体の使い方が歌うこと、息を吐くことにどのように関係するのか大きく以下の2つがあります。
歌うことを楽にする姿勢・身体の使い方の2つの要素
1、声が楽に出る為の前提=姿勢バランス
演奏者が音を出す為の道具は楽器ですが、歌手にとっては体そのものが声を出す為の楽器になります。
ですので、体のバランスがどのような状態か?
どのように立っているか?座っているか?という体の姿勢バランスがそのまま声になって表れるのです。
立っている時、座っている時の姿勢バランスが悪く、肺や気道を圧迫するような姿勢バランスだとそれだけで呼吸の妨げになります。
逆にあなたが楽に自然にその場に立つことが出来れば自ずと声を出すこと、歌うことは楽で自然になります。
ではどのような姿勢のバランスが良いのか?
それは骨格が適切なバランスで並んでいる姿勢です。
脚の上に、骨盤があり、骨盤の上に肋骨があり、肋骨の上に頭がある。そして中心に背骨があり頭、肋骨、骨盤をつないでいる。
簡単に言うとこのような骨格バランスです。
骨格がバランスをとることで、気道も圧迫されることなく息の通りもスムーズになります。
(ヒューマン・アナトミー・アトラスより)
また、骨格がバランスよく並んでいると言っても、良い姿勢でいる為にじっとしていなければいけないわけではありません。
歌うときには、当然表現する為に動くこともあります。
動くときも骨格がバランスを保ちながら、関節を自由にして動けば良いのです。
2、解剖学的に正しい呼吸の仕組みを知ること
声とは呼吸です。
声を出すことは息を吐くことです。
楽に息を吐く為には、楽に吸える必要があります。
その為に、解剖学的な呼吸の仕組みを知ることは声を楽に出す為に役立ちます。
というのは、呼吸の仕組みを誤解していることで、息を吐いたり吸ったりすることの妨げになっていることがあるからです。
例えば、息の流れる方向についての誤解があります。
息を吐くとき、息は肺から口に向かって上向きに流れていきます。
これは当然のことですが、多くの人が無意識に息を下に向かって吐こうとしていることがあるのです。
深呼吸の体操を思い出してください。
息を吸うとき両手を上に拡げながら上げて、息を吐く時下に向かって閉じるように吐きますね?
この深呼吸の体操や息を吐くときお腹に力を入れようというイメージ等によって息を下向きに吐こうとしてしまっていることがあります。
1つ簡単な実験をしてみて下さい。
まずは何も考えずただ息を吐いてみてください。
次にバンザイをしながら息が上向きに流れると思って息を吐いてみてください。
後者の方が息が吐きやすかったのではないでしょうか?
このように実際の息の上向きの流れとイメージが一致すると息を楽に吐くことが出来ます。
これは息を吐く時の誤解の1例ですが、他にも吐く為にどこの筋肉を使うか?あるいは息を吸う時はどのように骨や筋肉が動くのかと言った解剖学的な呼吸の仕組みを知ることで呼吸がより楽で自然に行えるようになります。
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【動画】歌手の方のアレクサンダーテクニークレッスンの様子&ご感想
レッスンの様子
実際のレッスンでの一コマです。5分ほどでお伝えした前後のビフォーアフターです。アフターの動画では、ビフォーと比べて声の響きが増え、息も楽に出ているのが分かります。
上記のビフォーの動画では、声を出すときに腹筋の前側(主に腹直筋)部分しかあまり使えていません。
(腹直筋)
ですが、腹筋は、前側の腹直筋だけでなく、お腹の横を斜めに走る腹斜筋、お腹から背中の方まで胴体をぐるっと巻くようについいている深層の腹横筋もあります。
(外腹斜筋)
(内腹斜筋)
(腹横筋)
(画像はヒューマン・アナトミー・アトラスより)
歌うときはそれら全ての腹筋群を使うことでより効率的に息を吐くことが出来ます。
上記をお伝えして歌って頂いたアフターの動画では、発声に大きな改善が見られより腹筋群全体を使って楽に力強く声が出るようになりました。
レッスンご感想
ジャズボーカリスト 東かおるさん
歌・ピアノ講師 吉田知己さん
まとめ
- アレクサンダーテクニークは呼吸の改善に役立つので、あらゆる歌の悩みの改善に非常に効果が高い。
- 歌うことを楽にする姿勢・身体の使い方の以下の2つの要素がある
①足から頭まで骨格が適切に並んでバランスが取れている姿勢であること
②解剖学的に正しい呼吸の仕組みを知ること
様々な歌のテクニックや発声法がありますが、まずは適切な姿勢バランスや呼吸の仕組みを理解し、実践できるようになった上でテクニックを応用するとその効果も高まるでしょう。
興味を持った方は是非実際にレッスンを受講してみてください。