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楽で美しい立ち方はアレクサンダーテクニークで実現できるのか?

こんにちは、アレクサンダーテクニーク教師の土橋です。

私たち人間が進化の過程で獲得した姿勢が立つことです。

立つことは他の動物には出来ない人間の特有のものです。

直立して立てるようになったおかげで両手が自由になり、人間はさらに進化して文明を発展させることが出来たと考えられています。

ですが、私たち現代人はなかなかバランス良くキレイに立つことが難しかったり、長時間立っているのが辛いという声をよく聞きます。

そこで今日は楽で美しく立つためにはどうすればいいのか?考えていきましょう。

実際に楽で美しい立ち方になるエクササイズも紹介していますので、ぜひ最後までお読みいただければと思います。

楽で美しい立ち方はアレクサンダーテクニークで実現するために

楽で美しい立ち方をアレクサンダーテクニークで実現できるのか?ということを考えていくために、まずは良い姿勢とは何なのか?改めて考えていきましょう。

良い姿勢という間違った思い込み

良い姿勢とかいい立ち方と聞くとどういうものを想像しますか?

多くの場合、小学校の時に言われた「背筋をピンと伸ばしなさい」「胸を張りなさい」のような「良い姿勢のイメージ」を思い出すと思います。

胸を張って背筋をピンと伸ばしているいわゆる「気を付け」のような姿勢です。

ですが、これはアレクサンダーテクニークの視点からすれば、かなりざっくりとした表現です。

ざっくりとした表現ではざっくりした結果にしか繋がりません。

このようなざっくりした言葉で表される良い姿勢は、実はただの思い込みの良い姿勢なのです。

この思い込みの良い姿勢を意識した時には、結果的に良くない姿勢や体のバランスになることも多いのです。

間違った良い姿勢で起こる辛い立ち方

百歩譲って猫背の人が胸を張ろうとすると良い状態になるということはあると思います。

ですが、例えば普段から良い姿勢をしようと胸を張ることを意識している人が、テレビなどで「良い姿勢をする為には胸を張るのが大事ですよ」と聞いたらどうなるでしょうか?
もっと良い姿勢をしようとさらに胸を張ろうとするということがあります。

そうすると、適度な張り具合を通り越して、胸は張ってるけど背中のほうは縮こまって硬くなってしまいます。
そして背中や腰が痛くなってしまうということがよく起こります。

実は頭で考えて姿勢をコントロールしようとするのは、とても難しいことなんです。
頭で考えて良い姿勢にしようとすると、やり過ぎになってしまい、体を固めてしまっているということが多いのです。

これが、良い姿勢で立つと楽に立てると言われているのに、良い姿勢で立っているつもりでも体が辛くなってしまうカラクリです。

アレクサンダーテクニークで見る楽で美しい姿勢とは?

では、アレクサンダーテクニークで考える楽で美しい姿勢とはどういったものでしょうか?
純粋なアレクサンダーテクニークの考え方と私の考え方は少し異なる部分もあるので、その辺も含めて解説していきます。

アレクサンダーテクニークでの考え方

アレクサンダーテクニークでは、そもそも「良い立ち方は何か」といった特定の姿勢について言及しません。

簡単に言えば、全身のバランスが取れている状態でバランス良く動こう。というのがアレクサンダーテクニークの考え方です。

ここで言う全身のバランスが取れている状態とは、具体的には首が楽で、頭が背骨の上でバランスしていて、同時に背中が縮まらずに長く広くひろがっている状態、つまり胴体のバランスが取れている状態です。

胴体のバランスが取れ良い状態だと、腕や脚の状態も良くなり全身がバランス良く動けるようになると考えます。

なので、楽な立ち方に関しても、全身のバランスが良くなった結果、自ずと楽な立ち方が出来るようになるいう考え方をします。

ここでは簡単にお伝えしましたが、アレクサンダーテクニークの考えるバランスの良い身体については、本質的でとても深い面があるので、別の記事で詳しく紹介していきます。

その一つ、首や頭についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。

パフォーマンスを上げたい人は頭と首を楽にした方がいい理由【アレクサンダーテクニークが解決します】

アレクサンダーテクニーク教師土橋の視点では、楽で美しい立ち方をどう考えるのか?

私自身、ロシア武術のシステマや気功、野口整体その他の武術などを学んできました。
アレクサンダーテクニークだけでなく、そういったことを総合して楽で美しい立ち方を考えています。

そんなアレクサンダーテクニーク教師土橋の視点ではどう考えているのか?

ブルース・リーの言葉を借りれば「考えるな感じろ」ということです 笑

どういうことかというと、
まず、頭で考えて意識しすぎないということが最も大事です。
そして次に、いい姿勢をしようとして立ち方を決めないで体に任せることが大事です。

頭で考えて決めつけているのが、いわゆる気をつけのような立ち方です。
ですが、これでは自分自身が楽な状態も前後左右のバランスも感じることをしていません。

本来、楽な状態や前後左右のバランスは人それぞれ違います。

なので、決めつけないで、バランスを感じながら、自分自身の中心を感じられるようにして楽な立ち方を見つけていくということをします。

私の表現では「体に楽な立ち方を見つけてもらう」と呼んでいます。

そして、バランスがとれていて楽に立てる立ち方の時には、自ずと人は美しい立ち方になっているのです。

楽で美しい立ち方を実感するためのエクササイズ

どうやって体に良い姿勢のバランスを見つけていくのでしょうか?
簡単なエクササイズで体感していきましょう。

こちらの動画でも紹介しています。

 

1:左右のバランスを見つける

大体肩幅くらいになるように脚を開いて立ってください。

その状態で左右に体重移動をして揺れていきます。

この時にできるだけ足首の関節のところで左右に揺れてください。
足首の関節は大体、内くるぶしと外くるぶしの間にあります。

その足首の関節で左右に揺れるように意識してみてください。

その時の注意としては腰を曲げたりせずに、体は一直線のままで左右に揺れていきます。
足は少し浮いても大丈夫です。

左右の揺れ幅を段々と小さくするようにしていきます。
少しずつ小さくしていって、どんどん小さくしていきます。

そして、大体これが左右の揺れ幅の真ん中だなと思うところで揺れを止めてみてください。
そうすると、大体この辺が真ん中だな、とか、楽に立ててるなというところが見つかると思います。

これが左右の間での真ん中です。

2:前後のバランスを見つける

次は前後間での真ん中を見つけていきます。

これも足首の関節で前後に揺れるようにしてください。

前後の場合はそんなに大きく揺れることができないので、小さく揺れるだけで大丈夫です。
足首のところで前後に揺れていきます。

前後は左右に比べて少し難しいのですが、なるべく体を丸めたり反ったりしないようにして真っ直ぐのまま揺れていきます。

前後の揺れも、少しずつ揺れ幅を小さくしていきます。
大体前後の間の真ん中だなというところで止めるようにしてください。

3:前後左右のバランスが取れた立ち方が見つかる

そうすると、なんとなくこの辺が真ん中だなというところが見つかったのではないかと思います。

そして、普段の立ち姿勢と比べて、余分な力みが減っていたり、楽に立てているという感覚があるんじゃないかと思います。

これがバランスの取れている立ち方を『体に見つけてもらう』ということです。

体はバランスをとり続けていると意識することが楽で美しい立ち方への第一歩

いかがでしたでしょうか?

本来、私たちは立っている時、倒れないように前後左右にバランスをとり続けています。
ですが、私たちは普段バランスを取っていることを忘れ、無意識に余分な力を使って固めて立っている状態になっています。

ですが、体全体を使ってバランスを取るということに意識を向けることで、自然に楽な立ち方を体が見つけてくれるようになります。

これが楽に美しく立つための基本であり、第一歩ですす。
ぜひ、日常で楽でキレイな立ち方を見つける為に、体のバランスに意識を向けてみてください。

腰痛や背中が痛くなる座り方、楽になる座り方を解説【アレクサンダーテクニークの視点】

こんにちは、アレクサンダーテクニーク教師の土橋です。

座っていて疲れることはありませんか?
現代の人間にとって、立っている時間や動いてる時間よりも、座っている時間のほうが長くなっていることが多くなっていますよね。

この座っている状態では、腰痛や背中が痛くなるということがよく起こります。
しかも、少しの間痛いとかではなく、日常的に痛くなってしまったりします。

そこで、今日は、なぜ座っていて腰痛や背中の痛みが起こるのか?楽な座り方をするためにはどうすればいいのか?ということを写真や画像、動画を見たり、楽な座り方をすぐ体感できるようにお伝えしていきます。

ぜひ最後まで読んでいってください。

腰痛や背中が痛くなる座り方の原因

まずは腰痛や背中が痛くなる座り方はどんな座り方なのか知ることから始めましょう。

  • なぜ腰や背中が痛い座り方になるのか?
  • 腰や背中の痛い人の座り方の特徴

を見ていきましょう。

なぜ腰や背中が痛い座り方になるのか?

座るとは、お尻の上に腰と背中があり、その上に頭があります。
当たり前と言えば当たり前ですが、なぜ痛みが出るのか?

その理由はシンプルです。

それは、腰や背中が頑張って支えてるからです。

人の体は頑張っている(緊張している)状態とリラックスしている(弛緩している)状態があります。
リラックスしている状態であれば痛みは出にくいのです。

頑張ることは短期間であれば疲れが出たとしても回復するので大丈夫です。久しぶりに運動をすると筋肉痛になることはありますよね。ですが、それは一時的ですぐに痛みは治ってしまいます。

ですが、ずっと頑張り続けていたらどうでしょうか?それが少しの頑張りだったとしても、日常的に頑張り続けていけば、必ず疲れが出てしまいます。
そして、疲れが回復し切らないうちにまた頑張る。この繰り返しをした結果が痛みとなってしまいます。

それが座っていて、腰痛や背中の痛みが起こる理由です。

腰や背中の痛い人の座り方の特徴

では、腰や背中が痛くなる人の座り方にはどんな特徴があるのか?

それは、支えてる場所が適切ではないという特徴があります。

まず、座る構造を理解しましょう。
私が教えているアレクサンダーテクニークでは、楽な体を作るためにはイメージができることが何よりも大切です。
なので、この構造をイメージできるようになるということが、楽な体を作る近道です。

人は骨盤に坐骨と呼ばれる、部分があります。お尻を触ってぐっと押したときに硬い部分が触れると思いますが、それが坐骨です。

坐骨の上に背骨があります。背骨の上に頭が乗っかっています。
背骨は、お尻(仙椎)腰(腰椎)背中(胸椎)首(頚椎)に分かれています。

そして、背骨は前と後ろに分かれます。
背骨の前側の椎体という太くて丸いしっかりした部分(左の画像の下半分/右の画像の左半分)、後側の突起【棘突起(きょくとっき)】(左の画像の上半分/右の画像の右半分)、その間に神経が通ってる場所があります。
(左の画像は上から見た図/右は横から見た図)

画像を見ていただくとイメージしやすいと思います。

座っていて腰痛や背中が痛い人の特徴は、後側で支えていることが多いのです。
後側で支えることによって、腰や背中の筋肉が頑張らなければいけなくなります。

この筋肉が頑張っている姿勢が続くことによって、負担がかかっている筋肉が疲れ、痛みが出て、その痛みが出た状態が続くことで慢性的な腰痛や背部痛みになるのです。

腰痛や背中が楽になる座り方をアレクサンダーテクニークの視点から解説

では、どうすれば楽な座り方になるのか?
楽な座り方をすぐに体感する方法について、アレクサンダーテクニーク(ボディマッピング)の視点から解説します。

座っているときに背中や腰はどうすれば楽になるのか?

人が一番楽な座り方ができるときには、坐骨の上に背骨や頭の重さが乗っかっているときです。
先ほどのところで、背中が頑張っているから痛みが出るという話をしました。

つまり、背骨の後ろ側で支えているとき(背中で頑張っているとき)には、坐骨に体重がうまく乗っかっていないのです。

ですから、坐骨にうまく体重が乗るように座れるようになることが、腰や背中が楽になる座り方になります。

アレクサンダーテクニーク(厳密にはボディマッピング)の観点からもう少し専門的に話してみます。
これは構造的にどうなっているのかというと、先ほどの背骨(脊椎)の形について説明しました。
背骨は前側(椎体)と後側の突起(棘突起)でできています。

背中が頑張っている状態の時には、棘突起(後側)に重さがかかっています。
坐骨に重さが乗っている時は、椎体(前側)に重さがかかっています。

これが楽な座り方の構造です。

ちなみに、頑張って座っている状態の時には、足でも床を踏ん張って支えに使っていることが多いです。
なので、楽な座り方ができるようになると、足も楽になったりします。

楽な座り方ができるようになるアレクサンダーテクニークエクササイズ

楽な座り方を体感してみよう

では、実際に楽な座り方をしてみましょう。

動画で見ていただくのが一番わかりやすいので、動画も載せておきます。


動画で説明しているように、以下の手順で行います。

  1. 座ってる時の腰、背中の張りを確認する
  2. 坐骨を確認する
  3. 坐骨(手)の上に体重が載るようにする
  4. 手を抜いて腰、背中の張りを確認する

まずは、座ってる時の腰背中の状態の張りを確認します。

次に坐骨を確認します。お尻の横から手を滑らせて確認しましょう。
坐骨は丸い骨です。

坐骨(手)の上に体重が載るようにするので、手の上に坐骨が乗って体が乗るようにします。

そうしたら、手を抜いていただき、再び腰と背中の張りを確認してみましょう。

前と比べて腰や背中の張りが楽になってることが確認できると思います。
これが支えてる部分が変わった証拠です。

ぜひ、足の力の入り具合の違いも確認してみてくださいね。

そして、注意点なのですが、私土橋のアレクサンダーテクニーク教師としてみた楽な座り方の見つけ方は、ここがいい位置だと自分で決めつけるのではなく、自分なりに色々と動かしてみながら、ここかなーと感じて探します。

楽な座り方になるエクササイズ

では、楽な座り方に変わっていくためのエクササイズをお伝えします。

今座っている状態から、体を前傾させていきます。

背中が丸くならずに真っ直ぐのまま前傾させていきます。
膝に肘をついて前傾した状態にします。
首は楽な状態で頭は背中の延長線上にある状態にしましょう。


このときに、背中は真っ直ぐで横にも広がっていくイメージでストレッチして下さい。

その姿勢で背中をリラックスさせたら、手で太ももを押しながら起き上がります。

そうすると坐骨の上に背骨が下から上に順番に乗っかっている状態が自然にできるようになります。

このようにして楽に座っている状態を探してみてください。

楽な座り方を探す視点が大切

今回の記事では腰痛や背中が痛くならない楽な座り方の基本をお伝えさせていただきました。

何度もお伝えしているように、アレクサンダーテクニークではイメージできることが最も大切です。
なので、最初はイメージができないかもしれませんが、繰り返し読んだり、動画を見ていただきながらイメージできるようにしていただけると嬉しいです。

座り方に関してはこちらの動画も参考になると思います。

背骨だけでなく、全体を複合的に理解することで、イメージが掴みやすくなりますので、ぜひ他の記事も読んでみてくださいね。