こんにちは、土橋です。
ボディマッピングをご存知でしょうか?
ボディマッピングは音楽家の一部の方の間ではとても評価されているものなのですが、まだまだ一般的に知られていません。
一体、どのあたりが評価されているのでしょうか?なぜ評価されているのでしょうか?
ボディマッピングができるかどうかで、練習の効果・音の出方が大きく変わると言われています。
アスリートの方や何か体を使った技術を身につける方にとっても重要なお話です。
きっと頭の中にはてなマークが浮かんでいると思います。
では、ボディマッピングとは何か?
できるようになるとどんなメリットがあるのか?
みていってみましょう。
Contents
ボディマッピングとは何か?
ボディマップとボディマッピングという言葉があり、混同してしまいやすいのですが、それぞれ別のものです。
まずはその違いを明確にしましょう。
ボディマップは脳外科医による発見
脳の中に体の地図が存在することが、1937年に脳神経科学者のペン・フィールドによって発表されています。ペン・フィールドが提唱したものは、人が体を動かしたり、感覚を感じる時に脳のどの領域に対応するかを示した体性感覚野に関する地図です。
ボディマップでは、それぞれの感覚の鋭さも表されています。人の感覚は全部の部位で同じではなく、こっちは敏感でこっちは鈍感というようになっています。手の感覚は腕の感覚より優れているので、ボディマップでは手の方が広く、腕の方が狭いという表現になります。
それぞれの感覚の鋭さを立体的に表して模型にしたホムンクルスというものが有名で、猿のような姿をしています。
ボディマッピングはアレクサンダーテクニーク教師による発見
ボディマッピングを発見したのはアレクサンダーテクニーク教師で、オハイオ州立大学でチェロを教えているウィリアム・コナブル教授です。
彼によると生徒自身の動きは自分の構造がどうなっているかという思い込みにしたがっていて、体の実際の構造に沿ったものではありませんでした。
生徒が体本来の構造を理解し、それに基づき演奏するようになると、動きは効率良く、表現も豊かになりました。
ボディマップとの違いは、ボディマップは解剖学に基づくもので、ボディマッピングは個人個人に基づくものという差です。
ボディマッピングの方がより実用的だと言えるかもしれません。
ボディマッピングによって自分のボディマップを意識的に修正し洗練することで、動きが効率的、優美、協調的になります。ボディマッピングは長く続けると、応用によって、どんなミュージシャンでも、自然に演奏できるようになります。
ボディマッピングとは地図作り
ボディマッピングはそれぞれの個人に基づくものと表現しました。
どういうことかというと、私たちは体のイメージに沿って体を動かしています。
この体のイメージと、実際の体の構造が合っていれば体は効率よく動くことができます。
ですが、その人がイメージしている体の動きと実際の動きには差がある場合が多くあります。
その場合、体に余分な力がかかり動きの妨げになります。
この自分の体は実際にはどうやって動いているのか?そのイメージをつけていき、「私の腕はここを動かしてるんだな」というその人にとっての感覚をイメージできるようにしていきます。そして、体のそれぞれの動きをイメージできるように地図を作っていく行為だからボディマッピングなのです。
では、実際の例で見てみましょう。
例えば、あなたは腕の付け根がどこから始まっているか知っていますか?
多くの人が肩のあたりだと思っているのではないでしょうか?
仮にそうだとしたら、腕を使うとき、肩のあたりから動かそうとしている可能性があります。
そうすると、鎖骨周りや肩のあたりを固めてしまい、動きにくくなりやすくなります。
でも実際には、腕の付け根は骨格上は鎖骨の付け根から始まります。
実際にやってみて欲しいのですが、
1:何もせずに左腕を動かす
2:右手で、左の鎖骨の付け根を触れながら、左腕を動かす
どうでしょうか?
鎖骨も動いていて腕が動きやすくなるのが分かるでしょう。
このようにボディマッピングが本来の体の構造とマッチしていると私たちの体は効率良く動きます。
ですので、より良いパフォーマンスを発揮するためには体の構造がどのようになっていてどのように動くのかを知っていることが大きな助けになります。
ボディマッピングとアレクサンダーテクニークとの違い
ボディマップとボディマッピングの違い話がかりました。
そして、ボディマッピングとは何か少しイメージがついたかもしれません。
では、ボディマッピングとアレクサンダーテクニークは違うのか?
次はその点について解説します。
ボディマッピング in アレクサンダーテクニーク
結論から言うと、ボディマッピングはアレクサンダーテクニークの中にあるものだと考えていただくとわかりやすいと思います。
そもそも、ボディマッピングがなぜできたのかと言うと、感覚的で伝わりにくいアレクサンダーテクニークをわかりやすく伝えるために作られたものだからです。
アレクサンダーテクニークでは、意識がとても大切です。ですが、体の内部の動きに意識を向けることに慣れていない人は、イメージすることがとても難しく感じてしまいます。
そこで、ボディマッピングを行うことでとっつきやすくなります。
なので、アレクサンダーテクニークとボディマッピングは別のものではなく、アレクサンダーテクニークの理解を深めるための方法だと思っていただけると良いと思います。
ボディマッピングができるようになるメリット
体を思い通りに動かせるようになる
ボディマッピングができるようになると、色々な場所を動かすイメージができるようになり、スムーズに体を動かすことができます。
一流のアスリートがなぜ優れた結果を出せるのかと言うと、ボディマッピングができているからです。
(その方達がアレクサンダーテクニークを学んでいると言うことではありませんので、誤解されないようにお願いします。)
僕は今メディアでも大活躍されている10種競技元日本チャンピオンの武井壮さんの大ファンなのですが、武井さんはどんなスポーツを初めてやってもすぐに経験者のレベルまでできるようになるくらい身体能力が高いです。
そんな武井さんも以下のように発言しています。
パフォーマンスを発揮する上で最も大切なことは「体を思い通りに動かせるようになること」
武井壮
武井さんがやっていた10種競技は10種目全ての練習をたくさんしなければならないのか?と普通は思いますが、
武井さんは、普段はひたすら体を思い通りに動かす為のトレーニングをして、試合の直前に各種目で上手い選手の真似をして試合に臨んでいたそうです。
体を思い通りに動かせるので、真似をしてすぐ動きをコピーできる。
それでチャンピオンになるのだから本当にすごいですね。
体を思い通りに動かせるようになる為の武井さんのお話はこちら。
7:38〜12:12で言及されています。
アプローチは異なりますが、パフォーマンスを発揮する為に「自分の思っている通りに体を動かす」という考え方は同じです。
アスリートやアーティスト、体を使う全てのパフォーマーにこの重要性を知って頂きたいです。
痛みが改善する
思っている通り(脳が認識してる通り)に動こうとするというのがアレクサンダーテクニークの中でも基本的な考え方の一つです。
なぜ体に痛みが出るのか?交通事故などを除き多くの場合、特定の場所に負担がかかり続けた結果痛みが出たり、何かを避けようとして別の場所に負担がかかって痛みが出たり、無理に動かそうとして痛みがでます。
実際の構造の部分と違うところを動かそうとすると硬くなります。そして、硬くなった状態で動かし続けると変な筋肉が働き負担がかかり痛みが出ます。
ボディマッピングの視点からお話しすると、その人がもっているここを動かしたら関節が曲がるというイメージが、本来曲がらないところを動かそうとしていたりします。
すると、体が硬くなったりして負担がかかります。
ボディマッピングができるようになると、イメージと実際に動かす場所が一致してきます。
すると、今まで負担がかかっていたもの場所の負担が軽減したり無くなったりします。
それによって痛みが改善すると言うことが起こります。
ボディマッピングを学ぶためにはどうすればいいか?
では、ボディマッピングを学ぶためにはどうすればいいでしょうか?
大きくは2通りの方法で学ぶことができます。
自分で学ぶ
自分自身でいろいろな教材を参考にして学ぶという方法が一つです。
ボディマッピングに関する本がいくつも出ているので、そちらでご自身のペースで学ぶことができます。
ボディマッピングは視覚的に理解する部分が大きいので、ボディマッピングに関する本を読むのはとても有効です。
どの本を読めばいいのかは、こちらの記事を参考にしてみてください。
私のYouTubeチャンネルでも、ボディマッピングについて解説している回がありますのでよろしければそちらも参考にしてみてください。
レッスンを受ける
本だけでは、よく分からなかったり、誤解が起きるという可能性もあります。
また、ボディマッピングは視覚的に理解するだけでなく、その情報を身体感覚としても認識することでその効果を最大限発揮します。
より正確に詳しく学びたいという人は、是非直接レッスンを受けてみてください。
アレクサンダーテクニーク講師の資格を持ち、ボディマッピングも教えている先生から学ぶことができます。
僕のレッスンでもボディマッピングを多用しています。
ただアレクサンダーテクニーク講師の中にはボディマッピングについては一切教えないという先生もいらっしゃいるので、レッスンを受ける前に確認してみてください。
また、ボディマッピングだけを教えるアンドーヴァーエデュケーターという専門資格を持つ先生もおられます。
元々ボディマッピングはアレクサンダーテクニーク講師が考案したものなので、アレクサンダーテクニークのレッスンの中ではボディマッピングはレッスンの一部という位置付けです。
ご自身の目的にあった先生を探してみてください。
ボディマッピングは体の使い方が上達するための近道
いかがでしたでしょうか?
ボディマッピングは、体を動かすときのイメージと実際の動きを一致させることで、思い通りに体を動かしたり、負担なく体を動かせるようになるものということをお伝えさせていただきました。
文章だけでなく映像や音声でもボディマッピングの情報に触れていただくことで理解が深まると思います。
ぜひ、そちらも併せてご覧いただければと思います。
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