アレクサンダーテクニークが一体何をするものなのか?は実際に受けた人にしか分からないというのが現状です。
今回はアレクサンダーテクニークを受けたことがない人でもできるだけイメージが出来るようにアレクサンダーテクニークレッスンのやり方を紹介します。
この記事を書いている土橋はアレクサンダーテクニーク教師養成校としては日本最大のスクールであるBodychanceでアレクサンダーテクニークの教師資格を取得し、これまで1,000人以上の方にレッスンを行ってきました。
そもそもアレクサンダーテクニークって何?という方はこちらの記事から読んで下さい。[box06 title=”あわせて読みたい”]アレクサンダーテクニークとは【その歴史と3つの効果】[/box06]
アレクサンダーテクニークは一言でいえば体の使い方を学ぶレッスンです。
どのように体の使い方を学んでいくかというと大きく2つのやり方に分かれます。
アレクサンダーテクニークには大きく2つの流派があって、流派によってかなり学び方が違うのです。
Contents
アレクサンダーテクニーク<レッスンの2つのやり方>
一つは、立つ・座るというシンプルな動きを繰り返し、ひたすらに人間の自然な動きを探求していく流派です。
もう一つは、生徒(クライアント)が改善したいと望む日常動作や演奏、ダンス、スポーツなどのパフォーマンスの質をより良くすることを探求していく流派です。
それぞれ解説していきます。
1、立つ、座る動きを反復し人間本来の自然な動きを追求する
立つ・座る、あるいは横になる(寝る)というシンプルな動きを繰り返し、ひたすらに人間の自然な動きを探求します。
なぜ立つ、座る、横になるという動きだけをひたすらに探求するのか?
人間の主な体勢・動きは、座っているか、立っているか、あるいは立つと座るの間にいるか、そして寝ているか?に分かれます。
ですのでこの基本動作を徹底的にマスターすることが体の使い方を理解することに繋がるのです。
レッスンでずっと立つ・座ることだけをやっていて飽きないのか?という疑問もあると思いますが、それが意外と楽しいんです。(個人差があります。)
というのは効率的な立つ・座る動きの探求を通して余分な緊張を手放していくと、体はとても心地良くなり、動きはとても軽やかになります。
身体が統合され、心地良い状態になると、心も安定し満たされます。
動きのレッスンを通していわゆるマインドフルネスな状態を実現するのがアレクサンダーテクニークなのです。
このスタイルによる学び方は、主にSTAT(Solidarity of Teachers of the Alexander Technique)というアレクサンダーテクニークの協会に所属するアレクサンダーテクニーク教師によって指導されています。
2、生徒の身体の悩みやパフォーマンスに関する問題解決・目的達成型のレッスン
もう一つは、生徒の望みに対して、体の使い方の観点から望むパフォーマンスの実現をサポートする学び方です。
コーチング型のレッスンスタイルで、レッスンの流れとしては、下記のような流れになります。
- カウンセリングによる現状把握
- 実際の動作の分析
- 体の仕組みの説明
- 実際の動きに応用する
という順番でレッスンを進めます。
レッスンで取り扱うテーマは、歩く、話す、歯を磨くといった日常動作から、演奏者やダンサーのパフォーマンス時の痛みの改善やパフォーマンス向上、アスリートの怪我の予防やパフォーマンス向上まで多岐に渡ります。
生徒の望む動きの質の向上に取り組むことで、自然な体の使い方を修得していきます。
このスタイルによる学び方は、主にATI(Alexander Technique Internatinal)というアレクサンダーテクニークの協会に所属するアレクサンダーテクニーク教師によって指導されています。
この記事を書いている土橋はこのスタイルで日本最大のスクールであるBodychanceでアレクサンダーテクニークの教師資格を取得しました。
どちらの流派も身体の自然な使い方を身につけるという点では同じですが、立つ・座る動作を繰り返すレッスンスタイルは、職人的に動きの本質を体得していくことを重視してるのに対し、問題解決・目的達成型のスタイルのレッスンでは生徒の目的達成と体の使い方の改善を直結させているので、より即効的で実践的であると言えます。
レッスンのイメージを掴むには下記のレッスン紹介動画を参考になります。
アレクサンダーテクニークレッスンの特徴
アレクサンダーテクニークは他の手技療法やボディワークにはない独特な哲学があります。
ここでアレクサンダーテクニーク特有のレッスンの特徴や考え方をいくつか紹介します。
抑制(インヒビジョン)
アレクサンダーテクニークは、何か正しい姿勢を身につけたり、特定のトレーニングを繰り返せば出来るようになるというものではありません。
自分自身の体の状態や動きを観察し、何か余分な緊張があれば、その緊張に気づいてそれを辞めるようにする、そうすることで人間本来の楽で自由な姿勢や動きが自然に表れてくる、という考えに基づくレッスンです。
アレクサンダーテクニークで言う抑制とは、下記のように言うことが出来ます。
余分な緊張=癖として身につけた習慣的な身体反応を辞めること
私たちは何かをしようとする時、無意識に習慣的な身体の反応(癖)=不必要な緊張が起こります。
この不必要な緊張が、やりたい動きを効率的に行うことを妨げているのです。
このような習慣的な反応が起きることを抑制することが、やりたい動きを効率的に実現する為の最初のステップになると考えます。
身体の全体性
身体は部分の集まりとして存在するわけではありません。
例えば、肩が痛いという症状があったとしても、問題は肩だけにあるわけではありません。
肩は胴体と繋がっていて胴体の上に頭があり、胴体の下には脚があります。
というように身体は全身が繋がっています。
アレクサンダーテクニークでは、身体を全身が繋がっている一つの有機体だと考えます。
身体全体に意識があり、全身が協調しながら動けると、とても心地良いです。
身体全体に気づきがあるいわゆるマインドフルネスな状態で動けることを目指します。
ハンズオン
上記のような考え方はただ概念として存在するわけではなく、身体感覚として実感することが出来ます。
アレクサンダーテクニークのレッスンでは、教師が生徒に触れることによって全身が協調して動ける感覚を情報として伝えます。
アレクサンダーテクニーク教師は、このアレクサンダーテクニーク特有の触れる技術をマスターするのに約1,600時間もの時間をかけて学びます。
まず自分自身の身体の面倒を見れるようになって全身の協調性を動けるようになることで初めて、その身体感覚を人に触れて伝えることかとが出来るようになるからです。
アレクサンダーテクニーク教師の訓練されたタッチはハンズオンと呼ばれ、生徒を無理なく楽で自由な動きに導く為の強力なサポートになります。
まとめ
・アレクサンダーテクニークのレッスンには、下記の2つの学び方がある。
- 立つ、座る、横になるといった基本動作を繰り返し探求する
- 生徒の目的に応じて、効率的な体の使い方を伝える
・レッスンでは抑制、全体性、ハンズオンといったアレクサンダーテクニーク特有の体験を通して学んでいく。
ここまでアレクサンダーテクニークのやり方についてお伝えしてきましたが、やはり体験を通して学んでいくレッスンですので実際に体でも体感したいという方は是非レッスンを受けてみてください。