楽で美しい立ち方はアレクサンダーテクニークで実現できるのか?

こんにちは、アレクサンダーテクニーク教師の土橋です。

私たち人間が進化の過程で獲得した姿勢が立つことです。

立つことは他の動物には出来ない人間の特有のものです。

直立して立てるようになったおかげで両手が自由になり、人間はさらに進化して文明を発展させることが出来たと考えられています。

ですが、私たち現代人はなかなかバランス良くキレイに立つことが難しかったり、長時間立っているのが辛いという声をよく聞きます。

そこで今日は楽で美しく立つためにはどうすればいいのか?考えていきましょう。

実際に楽で美しい立ち方になるエクササイズも紹介していますので、ぜひ最後までお読みいただければと思います。

楽で美しい立ち方はアレクサンダーテクニークで実現するために

楽で美しい立ち方をアレクサンダーテクニークで実現できるのか?ということを考えていくために、まずは良い姿勢とは何なのか?改めて考えていきましょう。

良い姿勢という間違った思い込み

良い姿勢とかいい立ち方と聞くとどういうものを想像しますか?

多くの場合、小学校の時に言われた「背筋をピンと伸ばしなさい」「胸を張りなさい」のような「良い姿勢のイメージ」を思い出すと思います。

胸を張って背筋をピンと伸ばしているいわゆる「気を付け」のような姿勢です。

ですが、これはアレクサンダーテクニークの視点からすれば、かなりざっくりとした表現です。

ざっくりとした表現ではざっくりした結果にしか繋がりません。

このようなざっくりした言葉で表される良い姿勢は、実はただの思い込みの良い姿勢なのです。

この思い込みの良い姿勢を意識した時には、結果的に良くない姿勢や体のバランスになることも多いのです。

間違った良い姿勢で起こる辛い立ち方

百歩譲って猫背の人が胸を張ろうとすると良い状態になるということはあると思います。

ですが、例えば普段から良い姿勢をしようと胸を張ることを意識している人が、テレビなどで「良い姿勢をする為には胸を張るのが大事ですよ」と聞いたらどうなるでしょうか?
もっと良い姿勢をしようとさらに胸を張ろうとするということがあります。

そうすると、適度な張り具合を通り越して、胸は張ってるけど背中のほうは縮こまって硬くなってしまいます。
そして背中や腰が痛くなってしまうということがよく起こります。

実は頭で考えて姿勢をコントロールしようとするのは、とても難しいことなんです。
頭で考えて良い姿勢にしようとすると、やり過ぎになってしまい、体を固めてしまっているということが多いのです。

これが、良い姿勢で立つと楽に立てると言われているのに、良い姿勢で立っているつもりでも体が辛くなってしまうカラクリです。

アレクサンダーテクニークで見る楽で美しい姿勢とは?

では、アレクサンダーテクニークで考える楽で美しい姿勢とはどういったものでしょうか?
純粋なアレクサンダーテクニークの考え方と私の考え方は少し異なる部分もあるので、その辺も含めて解説していきます。

アレクサンダーテクニークでの考え方

アレクサンダーテクニークでは、そもそも「良い立ち方は何か」といった特定の姿勢について言及しません。

簡単に言えば、全身のバランスが取れている状態でバランス良く動こう。というのがアレクサンダーテクニークの考え方です。

ここで言う全身のバランスが取れている状態とは、具体的には首が楽で、頭が背骨の上でバランスしていて、同時に背中が縮まらずに長く広くひろがっている状態、つまり胴体のバランスが取れている状態です。

胴体のバランスが取れ良い状態だと、腕や脚の状態も良くなり全身がバランス良く動けるようになると考えます。

なので、楽な立ち方に関しても、全身のバランスが良くなった結果、自ずと楽な立ち方が出来るようになるいう考え方をします。

ここでは簡単にお伝えしましたが、アレクサンダーテクニークの考えるバランスの良い身体については、本質的でとても深い面があるので、別の記事で詳しく紹介していきます。

その一つ、首や頭についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。

パフォーマンスを上げたい人は頭と首を楽にした方がいい理由【アレクサンダーテクニークが解決します】

アレクサンダーテクニーク教師土橋の視点では、楽で美しい立ち方をどう考えるのか?

私自身、ロシア武術のシステマや気功、野口整体その他の武術などを学んできました。
アレクサンダーテクニークだけでなく、そういったことを総合して楽で美しい立ち方を考えています。

そんなアレクサンダーテクニーク教師土橋の視点ではどう考えているのか?

ブルース・リーの言葉を借りれば「考えるな感じろ」ということです 笑

どういうことかというと、
まず、頭で考えて意識しすぎないということが最も大事です。
そして次に、いい姿勢をしようとして立ち方を決めないで体に任せることが大事です。

頭で考えて決めつけているのが、いわゆる気をつけのような立ち方です。
ですが、これでは自分自身が楽な状態も前後左右のバランスも感じることをしていません。

本来、楽な状態や前後左右のバランスは人それぞれ違います。

なので、決めつけないで、バランスを感じながら、自分自身の中心を感じられるようにして楽な立ち方を見つけていくということをします。

私の表現では「体に楽な立ち方を見つけてもらう」と呼んでいます。

そして、バランスがとれていて楽に立てる立ち方の時には、自ずと人は美しい立ち方になっているのです。

楽で美しい立ち方を実感するためのエクササイズ

どうやって体に良い姿勢のバランスを見つけていくのでしょうか?
簡単なエクササイズで体感していきましょう。

こちらの動画でも紹介しています。

 

1:左右のバランスを見つける

大体肩幅くらいになるように脚を開いて立ってください。

その状態で左右に体重移動をして揺れていきます。

この時にできるだけ足首の関節のところで左右に揺れてください。
足首の関節は大体、内くるぶしと外くるぶしの間にあります。

その足首の関節で左右に揺れるように意識してみてください。

その時の注意としては腰を曲げたりせずに、体は一直線のままで左右に揺れていきます。
足は少し浮いても大丈夫です。

左右の揺れ幅を段々と小さくするようにしていきます。
少しずつ小さくしていって、どんどん小さくしていきます。

そして、大体これが左右の揺れ幅の真ん中だなと思うところで揺れを止めてみてください。
そうすると、大体この辺が真ん中だな、とか、楽に立ててるなというところが見つかると思います。

これが左右の間での真ん中です。

2:前後のバランスを見つける

次は前後間での真ん中を見つけていきます。

これも足首の関節で前後に揺れるようにしてください。

前後の場合はそんなに大きく揺れることができないので、小さく揺れるだけで大丈夫です。
足首のところで前後に揺れていきます。

前後は左右に比べて少し難しいのですが、なるべく体を丸めたり反ったりしないようにして真っ直ぐのまま揺れていきます。

前後の揺れも、少しずつ揺れ幅を小さくしていきます。
大体前後の間の真ん中だなというところで止めるようにしてください。

3:前後左右のバランスが取れた立ち方が見つかる

そうすると、なんとなくこの辺が真ん中だなというところが見つかったのではないかと思います。

そして、普段の立ち姿勢と比べて、余分な力みが減っていたり、楽に立てているという感覚があるんじゃないかと思います。

これがバランスの取れている立ち方を『体に見つけてもらう』ということです。

体はバランスをとり続けていると意識することが楽で美しい立ち方への第一歩

いかがでしたでしょうか?

本来、私たちは立っている時、倒れないように前後左右にバランスをとり続けています。
ですが、私たちは普段バランスを取っていることを忘れ、無意識に余分な力を使って固めて立っている状態になっています。

ですが、体全体を使ってバランスを取るということに意識を向けることで、自然に楽な立ち方を体が見つけてくれるようになります。

これが楽に美しく立つための基本であり、第一歩ですす。
ぜひ、日常で楽でキレイな立ち方を見つける為に、体のバランスに意識を向けてみてください。

パフォーマンスを上げたい人は頭と首を楽にした方がいい理由【アレクサンダーテクニークが解決します】

アレクサンダーテクニーク教師の土橋です。

今回の記事は首と頭の状態がパフォーマンスに大きな影響を与えているという話です。

一言でまとめると、首と頭が楽に動けない状態は、神経の伝達が悪くなる、常に疲れやすい状態になる、という2つの視点から、パフォーマンスが下がってしまうのです。

なので、首と頭が楽に動けるという状態がとても大切なのです。
では、楽ではない状態はどういう状態なのか?どういう状態なら楽なのか?ということをアレクサンダーテクニークの視点から解説していきます。

アスリートの方はもちろん、音楽家の方やダンサーなどのパフォーマーの方にもとても重要なお話です。
ぜひ最後まで読んでいってください。

なぜパフォーマンスを上げたい人は頭と首を楽にした方がいいのか?

人は脳から背骨の中にある脊髄神経を通して体に情報伝達をするということをしています。

頭と首の状態、楽な時とそうではない時にどんなことが起こっているのか?について詳しく解説していきます。

パフォーマンスが悪い時の首と頭の状態

人には、恐怖反応という反応があります。
びっくりしたり、恐怖があると私たちは、まるで亀が甲羅に首を引っ込めてしまうように首を縮めるように、首の筋肉を縮こまらせるのです。

以下、臨床分子栄養医学研究会からの引用です。

背中を丸めて身体を固めて首をすくめるのは、怖いことがあったときの反射です。普段からその姿勢になっているということは、いつもいつも怖いということ。ビックリして怖いと、首と頭の筋肉が収縮して固まるーこれが反射です。この反射がずっと起こっていると、常に緊張した姿勢のままになります。

首をすくめる=首と頭の筋の収縮でした。これは恐怖反応です。収縮という動き自体が恐怖反応であり、恐怖感があるとこの収縮が起こります。つまり、怖いときにはこの首の動きになると覚えているため、肩が凝ったとき、脳では「いつもと同じ、怖いことが起こっているな」と反応します。そうすると、肩が凝っているだけでコルチゾールが出ます。コルチゾールがずっと出ているので、アドレナリンも出てきます。それで、いつも怒りやすい、いつも副腎疲労を起こす、いつも疲れている人になるのです。
のうみそとからだをつなげようより引用-

どういうことかというと、パフォーマンスが悪くなっている人の体をみてみると、首と頭の部分の筋肉は縮こまっていることが多いのです。

脳内では、前屈みになったり、筋肉が縮こまっている=恐怖を感じていると認識してしまいます。
その認識によって、脳内で疲労物質が出てくるので疲れやすくなってしまいます。

常に疲れやすい状態だったり、痛みが出やすくなってしまいます。

さらに、全身への影響もあります。
脳から背骨に出ている脊髄から、腕や脚へ神経が出ているので、首を固めてしまうと、首や胴体だけでなく腕や脚への末端への神経伝達も悪くなって、全身の動きのパフォーマンスも低下します。

常に疲れやすい状態となってしまうのも相乗効果となりパフォーマンスは落ちてしまうのです。

首と頭が楽になるとパフォーマンスはどう変わるのか?

首と頭が楽になるとは、端的にいうと、首の筋肉を縮こまらせるということをやめるということです。

前のところでは、首と頭が楽ではない時には、首の後ろの筋肉が縮こまっている状態になっているという話でした。

  • 首の筋肉の縮こまり=恐怖反応となり、疲労物質が出て疲れやすくなる=パフォーマンスが下がる。
  • 首の筋肉が縮こまっている=神経伝達が悪くなる=パフォーマンスが下がる

つまり、頭と首が楽な状態=首の筋肉もリラックスしている=上記の2つがなくなるということです。

なので、

  • 首の筋肉がリラックスしている=疲れにくくなる=パフォーマンスが上がる
  • 首の筋肉がリラックスしている=神経伝達が良くなる=パフォーマンスが上がる

という状態に変わるのです。

首と頭が楽に動かせている時にはこの状態になっています。
首と頭が楽になるだけでも、パフォーマンスが圧倒的に変わったなと実感される方も多いのです。

首と頭が楽な状態を体感するための方法【アレクサンダーテクニーク(ボディマッピング)】

では、ここからは実際に首と頭が楽な状態を体感して行ってみましょう。
動画で解説していますので、それをご覧になったり、この記事を読んでいただきながら一緒にやって体験してみましょう。

1.首と頭の動きのBeforeを覚えておく

実際に頭首の動きを見てみます。

上下をみる。左右を見るというふうに動かしてみます。
この時に上を見るのと下を見るのではどちらの方が楽か、左を見るのと右を見るのではどちらの方がスムーズに動きますか?
あるいは、どのあたりまで見えているかを確認して覚えておいてください。

その上で質問があります。
今頭首を動かしたわけですが、それは背骨の上で頭を動かしたということです。では、頭と背骨はどの高さで出会っているでしょうか?
言い換えると、背骨の一番上はどこにあるでしょうか?
それを想像してみて下さい。

実は背骨の一番上は、耳と耳を結んだ高さにあります。そして、鼻の奥のあたりに頭と背骨が出会っている場所があります。

多くの人が、思っている場所よりも高いところにあるなと思ったのではないでしょうか?
まずは、頭と背骨が出会った高さを知っておいてください。

2.Afterで動きのスムーズさを実感する

そして、その上で、頭、首を動かす時に意識してほしいことは、鼻先が延長されてピノキオのような鼻になった状態をイメージしてください。
そして、さらにそのピノキオの鼻の延長線上を見るようにします。
その延長線上を見ながら下を向いたり上を向いたり、右を向いたり左を向いたりするようにしてみてください。

そうすると、先ほど動かした時よりも上下での差が減ったり、左右での差が減ったりしているのではないでしょうか?
もしくは、頭が楽に動けるようになってるなということを感じると思います。

この違いを実感できた状態こそが、首を動かす時に意識してほしいことです。
多くの場合は首を動かそうとする時に、頭と背骨が出会っている場所よりももっと下から動かそうとしています。
そうすると、本来頭を動かす場所(耳と耳の間)ではないところで動かすことになるので、首を固めて動かそうとすることになります。

耳と耳の間から動かすことで、自然な関節の動かし方になるのです。

アレクサンダーテクニークのなかのボディマッピングと呼びます

アレクサンダーテクニークの中では、この動きを体感していただいたものをボディマッピングと呼んでいます。

ボディマッピングとは、体の動きや感覚を脳が認識していくことです。

このボディマッピングが体の構造に沿って正しく認識できていると、思った通りに体を動かせるので高いパフォーマンスを発揮することができます。

一流のアーティストやアスリートは、このボディマッピングが正確な方が多いです。

詳しくはこちらの記事を参照してみてください。

ボディマッピングとは何か?アレクサンダーテクニークとの違いを解説

首と頭の状態はパフォーマンスに大きな影響を与えている

いかがでしたでしょうか?
首と頭の状態が楽だと、なぜパフォーマンスが上がるのか?という理由、実際に楽な状態がわかったのではないでしょうか?

体の中で重要な度合いが特に高いのがこの首と頭の状態です。
アレクサンダーテクニークでレッスンを行う時にも、首と頭の状態を必ず確認しています。

ぜひ、楽な首と頭の状態を作り、パフォーマンスを向上させていただければと思います。

腰痛や背中が痛くなる座り方、楽になる座り方を解説【アレクサンダーテクニークの視点】

こんにちは、アレクサンダーテクニーク教師の土橋です。

座っていて疲れることはありませんか?
現代の人間にとって、立っている時間や動いてる時間よりも、座っている時間のほうが長くなっていることが多くなっていますよね。

この座っている状態では、腰痛や背中が痛くなるということがよく起こります。
しかも、少しの間痛いとかではなく、日常的に痛くなってしまったりします。

そこで、今日は、なぜ座っていて腰痛や背中の痛みが起こるのか?楽な座り方をするためにはどうすればいいのか?ということを写真や画像、動画を見たり、楽な座り方をすぐ体感できるようにお伝えしていきます。

ぜひ最後まで読んでいってください。

腰痛や背中が痛くなる座り方の原因

まずは腰痛や背中が痛くなる座り方はどんな座り方なのか知ることから始めましょう。

  • なぜ腰や背中が痛い座り方になるのか?
  • 腰や背中の痛い人の座り方の特徴

を見ていきましょう。

なぜ腰や背中が痛い座り方になるのか?

座るとは、お尻の上に腰と背中があり、その上に頭があります。
当たり前と言えば当たり前ですが、なぜ痛みが出るのか?

その理由はシンプルです。

それは、腰や背中が頑張って支えてるからです。

人の体は頑張っている(緊張している)状態とリラックスしている(弛緩している)状態があります。
リラックスしている状態であれば痛みは出にくいのです。

頑張ることは短期間であれば疲れが出たとしても回復するので大丈夫です。久しぶりに運動をすると筋肉痛になることはありますよね。ですが、それは一時的ですぐに痛みは治ってしまいます。

ですが、ずっと頑張り続けていたらどうでしょうか?それが少しの頑張りだったとしても、日常的に頑張り続けていけば、必ず疲れが出てしまいます。
そして、疲れが回復し切らないうちにまた頑張る。この繰り返しをした結果が痛みとなってしまいます。

それが座っていて、腰痛や背中の痛みが起こる理由です。

腰や背中の痛い人の座り方の特徴

では、腰や背中が痛くなる人の座り方にはどんな特徴があるのか?

それは、支えてる場所が適切ではないという特徴があります。

まず、座る構造を理解しましょう。
私が教えているアレクサンダーテクニークでは、楽な体を作るためにはイメージができることが何よりも大切です。
なので、この構造をイメージできるようになるということが、楽な体を作る近道です。

人は骨盤に坐骨と呼ばれる、部分があります。お尻を触ってぐっと押したときに硬い部分が触れると思いますが、それが坐骨です。

坐骨の上に背骨があります。背骨の上に頭が乗っかっています。
背骨は、お尻(仙椎)腰(腰椎)背中(胸椎)首(頚椎)に分かれています。

そして、背骨は前と後ろに分かれます。
背骨の前側の椎体という太くて丸いしっかりした部分(左の画像の下半分/右の画像の左半分)、後側の突起【棘突起(きょくとっき)】(左の画像の上半分/右の画像の右半分)、その間に神経が通ってる場所があります。
(左の画像は上から見た図/右は横から見た図)

画像を見ていただくとイメージしやすいと思います。

座っていて腰痛や背中が痛い人の特徴は、後側で支えていることが多いのです。
後側で支えることによって、腰や背中の筋肉が頑張らなければいけなくなります。

この筋肉が頑張っている姿勢が続くことによって、負担がかかっている筋肉が疲れ、痛みが出て、その痛みが出た状態が続くことで慢性的な腰痛や背部痛みになるのです。

腰痛や背中が楽になる座り方をアレクサンダーテクニークの視点から解説

では、どうすれば楽な座り方になるのか?
楽な座り方をすぐに体感する方法について、アレクサンダーテクニーク(ボディマッピング)の視点から解説します。

座っているときに背中や腰はどうすれば楽になるのか?

人が一番楽な座り方ができるときには、坐骨の上に背骨や頭の重さが乗っかっているときです。
先ほどのところで、背中が頑張っているから痛みが出るという話をしました。

つまり、背骨の後ろ側で支えているとき(背中で頑張っているとき)には、坐骨に体重がうまく乗っかっていないのです。

ですから、坐骨にうまく体重が乗るように座れるようになることが、腰や背中が楽になる座り方になります。

アレクサンダーテクニーク(厳密にはボディマッピング)の観点からもう少し専門的に話してみます。
これは構造的にどうなっているのかというと、先ほどの背骨(脊椎)の形について説明しました。
背骨は前側(椎体)と後側の突起(棘突起)でできています。

背中が頑張っている状態の時には、棘突起(後側)に重さがかかっています。
坐骨に重さが乗っている時は、椎体(前側)に重さがかかっています。

これが楽な座り方の構造です。

ちなみに、頑張って座っている状態の時には、足でも床を踏ん張って支えに使っていることが多いです。
なので、楽な座り方ができるようになると、足も楽になったりします。

楽な座り方ができるようになるアレクサンダーテクニークエクササイズ

楽な座り方を体感してみよう

では、実際に楽な座り方をしてみましょう。

動画で見ていただくのが一番わかりやすいので、動画も載せておきます。


動画で説明しているように、以下の手順で行います。

  1. 座ってる時の腰、背中の張りを確認する
  2. 坐骨を確認する
  3. 坐骨(手)の上に体重が載るようにする
  4. 手を抜いて腰、背中の張りを確認する

まずは、座ってる時の腰背中の状態の張りを確認します。

次に坐骨を確認します。お尻の横から手を滑らせて確認しましょう。
坐骨は丸い骨です。

坐骨(手)の上に体重が載るようにするので、手の上に坐骨が乗って体が乗るようにします。

そうしたら、手を抜いていただき、再び腰と背中の張りを確認してみましょう。

前と比べて腰や背中の張りが楽になってることが確認できると思います。
これが支えてる部分が変わった証拠です。

ぜひ、足の力の入り具合の違いも確認してみてくださいね。

そして、注意点なのですが、私土橋のアレクサンダーテクニーク教師としてみた楽な座り方の見つけ方は、ここがいい位置だと自分で決めつけるのではなく、自分なりに色々と動かしてみながら、ここかなーと感じて探します。

楽な座り方になるエクササイズ

では、楽な座り方に変わっていくためのエクササイズをお伝えします。

今座っている状態から、体を前傾させていきます。

背中が丸くならずに真っ直ぐのまま前傾させていきます。
膝に肘をついて前傾した状態にします。
首は楽な状態で頭は背中の延長線上にある状態にしましょう。


このときに、背中は真っ直ぐで横にも広がっていくイメージでストレッチして下さい。

その姿勢で背中をリラックスさせたら、手で太ももを押しながら起き上がります。

そうすると坐骨の上に背骨が下から上に順番に乗っかっている状態が自然にできるようになります。

このようにして楽に座っている状態を探してみてください。

楽な座り方を探す視点が大切

今回の記事では腰痛や背中が痛くならない楽な座り方の基本をお伝えさせていただきました。

何度もお伝えしているように、アレクサンダーテクニークではイメージできることが最も大切です。
なので、最初はイメージができないかもしれませんが、繰り返し読んだり、動画を見ていただきながらイメージできるようにしていただけると嬉しいです。

座り方に関してはこちらの動画も参考になると思います。

背骨だけでなく、全体を複合的に理解することで、イメージが掴みやすくなりますので、ぜひ他の記事も読んでみてくださいね。

アレクサンダーテクニークが宗教と言われる本当の原因【怪しい…の疑問を解消します!】

こんにちは、土橋です。

アレクサンダーテクニークで検索してみると、「アレクサンダーテクニーク 宗教」「アレクサンダーテクニーク 怪しい」といった検索ワードが出てきます。
しかも、結構調べられている様子です。

自分自身アレクサンダーテクニークの世界に入って長くなっていて当たり前になっていましたが、そうか、怪しい宗教だと思う人もいるのかと思いました。

そこで、アレクサンダーテクニークは本当に怪しい宗教なのか?1000人以上にアレクサンダーテクニークを教えてきた今、改めて考えてみることにしました。

アレクサンダーテクニークが宗教と言われる本当の原因

アレクサンダーテクニークが初めて日本に伝わってきたのは、1980年代にイムレ・トールマンというスイス人が舞踏や野口体操を学ぶた為に日本に滞在されていた時に、個人レッスンを教えられたのが始めのようです。

その後、1990年に京都精華大学名誉教授片桐ゆずる氏によって、初のワークショップも開催されました。

それがなぜ怪しいと思われたり、宗教だと言われるようになったのか?まずは原因について考えました。

アレクサンダーテクニークは確かに怪しい

これまでに1,000人以上にアレクサンダーテクニークの指導をしてきた私からしても、アレクサンダーテクニークは怪しいと思われても仕方ないなと思うことがあります。

「体を触ることであなたの思っていることがわかります」

このように言われたら、怪しさしかありませんよね。
アレクサンダーテクニークのレッスンで一見何もしていないのに、あまりにも体が変化する為、とても不思議な感覚になられる方もおられます。

アレクサンダーテクニークは、意識の変化によってカラダに劇的な効果を生むことがあるため、アレクサンダーテクニークがスピリチュアルなものと考えられることもありますし、あまり詳しくない方からすれば、科学的ではないし宗教的だと見られるかもしれません。

宗教がなぜ悪いイメージが持たれるのか?

「あれは宗教だ」という文脈で何かが言われる時には、それは悪いものだという文脈で言われています。

日本で初めてワークショップが開催され始めた1990年当時は、オウム真理教のようなカルト宗教が流行していた時代です。松本サリン事件、地下鉄サリン事件といった印象が強く残っているために宗教=悪という先入観を持つようになってしまっています。

ヨガやピラティスはここ10年くらい、健康的なものとしていいイメージを持たれるようになって市民権を得ています。しかしながら、ヨガもオウム真理教で修行に使われていたために、印象が悪くなったりしているという歴史があります。

ここ数年であれば、オンラインサロンも宗教だ、怪しいと言われる対象となっています。

なぜ悪いイメージが持たれるのかというと、「知らないから」悪いイメージになるのです。人は知らないものに対しては恐怖を覚えて防御反応をとるように本能にプログラミングされています。これは人間が進化して生き延びてくる間に身につけてきた本能なので、そうそうすぐに変わるものではありません。

ですが、正体を知ることによって怖さがなくなり、怪しいというイメージもなくなります。残るのは好きか嫌いかという個人の判断になります。

宗教とカルト宗教を分けて考える

宗教というのはキリスト教、ヒンドゥー教、仏教など様々なものがあり、世界で一般的なものですし、無信仰と言われている日本人や私たちも、正月、クリスマス、お盆、ハロウィンなどさまざまなイベントを通して宗教に触れています。結婚式もそれぞれの宗教が反映されたやり方でチャペルや神社などで行われています。

宗教は、心となる教え(理論)があり、その教えを考え出した中心人物やその教えを広げている人の元に学び、暮らしていきます。そして、その教えが人を幸せに導いてくれるという考え方です。これは、学校、塾、講座やセミナーなど、どんなものでも本質的な構造は同じです。

そして、宗教によって救われたり、日常が楽しくなったり、幸せになっている人がたくさんいるのも事実です。

盲信的に他のものを排除したり、危害を加えてしまうカルト宗教と分けて考える必要があります。
もし仮にアレクサンダーテクニークが、それ以外の考え方は悪いものだ!として攻撃をしてくるようであれば確かに敬遠されるようなカルト宗教と同じような構造になってしまいます。

ですが、そうでなかったとすれば、そこまで敬遠するべき対象ではなく、正しく学び使えば、あなた自身の生活を豊かにしてくれる力強い味方となってくれるのです。(もちろん好みにあえばですが…)

アレクサンダーテクニークが怪しい宗教というイメージを解消します

後半では、アレクサンダーテクニークを怪しいと思われている方のためにアレクサンダーテクニークが何のためにあるのか?どういう人に必要なのか?という疑問を解消していきますので、これでアレクサンダーテクニークに対するイメージが変わるかもしれません。

アレクサンダーテクニークは何のためにあるのか?

アレクサンダーテクニークは身体のレッスンです。
アレクサンダーテクニークを学ぶことでカラダの使い方、カラダへの意識の向け方が上達します。

アレクサンダーテクニークの基本的な考え方の一つにに、思っていることが体の状態やパフォーマンスに表れるというものがあります。

私たちの体は意識的であれ、無意識であれ、自分の体を脳が認識している通りに動きます。

例えば、腕の付け根を肩口のところだと思っていると、腕を肩から動かそうとします。

一方腕を鎖骨からだと思っていれば、腕を鎖骨の付け根から動かそうとします。

実際には鎖骨の付け根が腕の付けになります。

実際にそれぞれの意識で腕を動かしてみると違いが分かると思います。

このように、体の認識を変えるだけで、動きは一瞬で変わります。

「思考は現実化する」ということが自己啓発本などでよく言われますが、体に関しても同じことが言えます。

レッスンの中で、身体感覚への気づきや変化を通して学ぶ部分も多いです。

身体感覚は人によって様々ですし、感覚を言語化することはなかなか難しいです。

実際にアレクサンダーテクニークのレッスンを体験した人は、その感覚が共有できるのですが、体験したことがない人に言葉だけでアレクサンダーテクニークを説明するのはなかなか難しいのです。

アレクサンダーテクニークが必要な人

アレクサンダーテクニークは特に必要な人がいます。

どういう人が特に必要かというと、慢性的に体に痛みがあったり、動かし方に負担が起こっている人、ダンスや演奏などのパフォーマンスが思ったように発揮できていない人です。

交通事故などによる骨折のような状態ではなく、慢性的に体に痛みが出るのは、体に負担がかかっていることが多いからです。なぜ、体に負担がかかるのかというと、自分の体をこう動かしているというイメージと実際の動きに違いがあり、体に負担がかかっているのです。しかも、体の動かし方は無意識です。

なので、慢性的な痛みのある方や、思ったようなパフォーマンスを発揮できていないパフォーマー・演奏家・アスリートといった方。そんな方にとっては特に必要なものなんです。

アレクサンダーテクニークに興味を持たれる多くの方がピアニスト、吹奏楽の演奏家、ダンサーなのは、身体に意識を向けることが職業的に多いからなのだと思います。

ちなみに、トップアスリートの方は、身体に意識を向けるという能力がズバ抜けて高いです。
こちらの動画の7:38〜12:12で武井壮さんがプロのアスリートよりも優れた成績を出す秘訣について語られていますが、まさしくこんなことができるようになるのがアレクサンダーテクニークの一つの大きな効果だと感じています。

怪しさを乗り越えるために向き合うべき課題

アレクサンダーテクニークは音楽家やダンサー、表現者などの間で実はすごいものだというふうに評価されているものです。ですが、まだまだ知っている人や、効果を実感している人が少ないのも事実です。

多くの人に知っていただくということが、アレクサンダーテクニークが怪しい宗教だと言われることを少なくしていく近道です。
私がこのブログを書いているのも、アレクサンダーテクニークを一人でも多くの人に知ってもらいたいと思い書いているのもありますし、YouTubeでもアレクサンダーテクニークについて情報を発信しています。

YouTubeチャンネル:カラダの使い方大学

アレクサンダーテクニークは怪しい宗教に見えるかもしれませんが、多くの人に喜ばれているのも事実

ここまでお読みいただき、アレクサンダーテクニークについての印象は変わりましたでしょうか?それともまだまだ怪しい宗教だと感じるでしょうか?

まだまだ怪しい宗教だと言われることも多いアレクサンダーテクニークですが、1,000人以上に指導してきてたくさんの人に喜ばれているという事実を知っています。なので、もっと多くの人に良さを実感してもらいたいと思っています。

ですが、アレクサンダーテクニークは、奥が深いものなので、もしかすると一回読んだだけでは全体像を理解することが難しいかもしれませんし、まだまだ怪しさが残っているかもしれません。

もし、興味があれば他のこちらの記事もお読みいただくことでアレクサンダーテクニークについて理解が深まると思います。

【事例付き】アレクサンダーテクニークが歌にもたらす効果とは

声楽家など歌手の方でアレクサンダーテクニークを学びに来られる方は多いです。

歌うことと体の使い方は密接に関わっているからです。

今回は、どうして歌手がアレクサンダーテクニークを学ぶのか?歌手にどのようにアレクサンダーテクニークが役立つのかについてお伝えします。

この記事を書いている土橋はこれまで1,000人以上の音楽家、歌手の方にアレクサンダーテクニークのレッスンを行ってきました。

歌手の悩み

歌手の方の悩みとしてこれまで以下のようなものをお聞きしてきました。

  • 高い声を出すとき喉を力んでしまう
  • 本番で力んでしまい思うような声が出ない
  • 歌った後に喉が痛くなる
  • 歌った後に腰が痛くなる
  • 低音から高音の移行が上手く歌えない
  • 声量が足りない
  • 息が長く続かない

あなたにも当てはまるものがありましたか?

アレクサンダーテクニークはこのような歌うことに関するあらゆる悩みの改善に役立ちます。

なぜなら歌うことは、呼吸することであり、呼吸とは全身を使った運動だからです。

なぜアレクサンダーテクニークがあらゆる歌うことの悩みの改善に役立つのかをみていきます。

アレクサンダーテクニークが歌うことに役立つ理由

アレクサンダーテクニークは姿勢や身体の使い方のレッスンです。

姿勢や体の使い方がどのように歌うことに関係するのかをみていきます。

https://body-use.com/alexandertecnique/

歌うことは、息を吐くことです。

そもそも息を効率的に吐くことが出来なければ、歌う為のあらゆるテクニックは行うのが難しくなります。

歌うことのどのような悩みであれ、息を吐くということがスムーズに行えるかということが関わっています。

姿勢や体の使い方が歌うこと、息を吐くことにどのように関係するのか大きく以下の2つがあります。

歌うことを楽にする姿勢・身体の使い方の2つの要素

1、声が楽に出る為の前提=姿勢バランス

演奏者が音を出す為の道具は楽器ですが、歌手にとっては体そのものが声を出す為の楽器になります。

ですので、体のバランスがどのような状態か?

どのように立っているか?座っているか?という体の姿勢バランスがそのまま声になって表れるのです。

立っている時、座っている時の姿勢バランスが悪く、肺や気道を圧迫するような姿勢バランスだとそれだけで呼吸の妨げになります。

逆にあなたが楽に自然にその場に立つことが出来れば自ずと声を出すこと、歌うことは楽で自然になります。

ではどのような姿勢のバランスが良いのか?

それは骨格が適切なバランスで並んでいる姿勢です。

脚の上に、骨盤があり、骨盤の上に肋骨があり、肋骨の上に頭がある。そして中心に背骨があり頭、肋骨、骨盤をつないでいる。

簡単に言うとこのような骨格バランスです。

骨格がバランスをとることで、気道も圧迫されることなく息の通りもスムーズになります。

骨格
(ヒューマン・アナトミー・アトラスより)

また、骨格がバランスよく並んでいると言っても、良い姿勢でいる為にじっとしていなければいけないわけではありません。

歌うときには、当然表現する為に動くこともあります。

動くときも骨格がバランスを保ちながら、関節を自由にして動けば良いのです。

2、解剖学的に正しい呼吸の仕組みを知ること

声とは呼吸です。

声を出すことは息を吐くことです。

楽に息を吐く為には、楽に吸える必要があります。

その為に、解剖学的な呼吸の仕組みを知ることは声を楽に出す為に役立ちます。

というのは、呼吸の仕組みを誤解していることで、息を吐いたり吸ったりすることの妨げになっていることがあるからです。

例えば、息の流れる方向についての誤解があります。

息を吐くとき、息は肺から口に向かって上向きに流れていきます。

これは当然のことですが、多くの人が無意識に息を下に向かって吐こうとしていることがあるのです。

深呼吸の体操を思い出してください。

息を吸うとき両手を上に拡げながら上げて、息を吐く時下に向かって閉じるように吐きますね?

この深呼吸の体操や息を吐くときお腹に力を入れようというイメージ等によって息を下向きに吐こうとしてしまっていることがあります。

1つ簡単な実験をしてみて下さい。

まずは何も考えずただ息を吐いてみてください。

次にバンザイをしながら息が上向きに流れると思って息を吐いてみてください。

バンザイ

後者の方が息が吐きやすかったのではないでしょうか?

このように実際の息の上向きの流れとイメージが一致すると息を楽に吐くことが出来ます。

これは息を吐く時の誤解の1例ですが、他にも吐く為にどこの筋肉を使うか?あるいは息を吸う時はどのように骨や筋肉が動くのかと言った解剖学的な呼吸の仕組みを知ることで呼吸がより楽で自然に行えるようになります。

[box06 title=”あわせて読みたい”]「お腹に力を入れて吐く」の誤解〜息の通り道と流れを知ろう!〜
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[box06 title=”あわせて読みたい”]呼吸の仕組みを知ってロングトーンや高音をもっと楽に出せるようになろう!
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【動画】歌手の方のアレクサンダーテクニークレッスンの様子&ご感想

レッスンの様子

実際のレッスンでの一コマです。5分ほどでお伝えした前後のビフォーアフターです。アフターの動画では、ビフォーと比べて声の響きが増え、息も楽に出ているのが分かります。

上記のビフォーの動画では、声を出すときに腹筋の前側(主に腹直筋)部分しかあまり使えていません。

腹直筋
(腹直筋)

ですが、腹筋は、前側の腹直筋だけでなく、お腹の横を斜めに走る腹斜筋、お腹から背中の方まで胴体をぐるっと巻くようについいている深層の腹横筋もあります。

外腹斜筋
(外腹斜筋)
内腹斜筋
(内腹斜筋)
腹横筋
(腹横筋)
(画像はヒューマン・アナトミー・アトラスより)

歌うときはそれら全ての腹筋群を使うことでより効率的に息を吐くことが出来ます。

上記をお伝えして歌って頂いたアフターの動画では、発声に大きな改善が見られより腹筋群全体を使って楽に力強く声が出るようになりました。

レッスンご感想

ジャズボーカリスト 東かおるさん

歌・ピアノ講師 吉田知己さん

まとめ

  • アレクサンダーテクニークは呼吸の改善に役立つので、あらゆる歌の悩みの改善に非常に効果が高い。
  • 歌うことを楽にする姿勢・身体の使い方の以下の2つの要素がある

①足から頭まで骨格が適切に並んでバランスが取れている姿勢であること
②解剖学的に正しい呼吸の仕組みを知ること

様々な歌のテクニックや発声法がありますが、まずは適切な姿勢バランスや呼吸の仕組みを理解し、実践できるようになった上でテクニックを応用するとその効果も高まるでしょう。

興味を持った方は是非実際にレッスンを受講してみてください。

アレクサンダーテクニークに資格制度はある?おすすめスクールも紹介

アレクサンダーテクニークに興味を持ち、マスターしたい、指導者の資格を取得して仕事にしたい、という方もおられると思います。

今回は、アレクサンダーテクニークの教師資格を取るには?

資格取得後どんな活動が出来るのか?

こういった疑問にお答えします。

この記事を書いている土橋は、世界最大のアレクサンダーテクニーク教師養成スクールBodyChanceを卒業し、卒業したBodyChance以外の様々なスクールにも体験参加してきました。

その経験から、アレクサンダーテクニークの教師になる方法や各学校の特色などをお伝えしていきます。

アレクサンダーテクニーク教師になるには?

まずアレクサンダーテクニークは、国家資格ではありませんので、厳密に法律で定められた資格があるというわけではありません。

極端な話、アレクサンダーテクニークを独学で学んで、アレクサンダーテクニークを教えていると言っても法律違反になるわけではありません。

但し、アレクサンダーテクニークを本当に理解し教えれるようになるには、教える為の確かな技術が必要です。

技術を習得する為にはいくつかのアレクサンダーテクニーク指導者協会が主催する教師養成コースに参加して教師資格を取得する必要があります。

資格取得にかかる期間と費用

アレクサンダーテクニークの資格を取得する為に必要な期間と費用は圧倒的です。

期間はおよそ3〜4年で1600時間、費用は総額300万〜400万です。

国家資格並みの時間と費用が必要になります。

なぜこれほど期間が必要なのか?

アレクサンダーテクニークとは、人間本来の構造に沿った自然な身体の使い方を身につけ、教える技術です。

自分自身の身体を効果的に使えるようになってはじめて、人に教えることが出来ます。

体のことを解剖学などの知識として知るだけでなく、知識と身体感覚と一致させながら身につけていきます。

またアレクサンダーテクニークでは、教師が生徒に触れることによって全身が協調して動ける感覚を情報として伝えます。

このアレクサンダーテクニーク特有の触れる技術をマスターするには、まず自分自身が全身が協調して動けるようになることで初めて、その身体感覚を人に触れて伝えることが出来るようになります。

この高度な技術を身につける為に、3年1600時間という多くの訓練期間が必要になるのです。

そして、そもそも理想的な身体の使い方の追求に終りはありません。

この学びは教師資格を取得した後も一生続いていきます。

資格の取得できるスクール

以下のような教師養成コースが開催されています。

STAT(Solidarity of Teachers of the Alexander Technique)

1つはSTAT(Solidarity of Teachers of the Alexander Technique)という教師協会の資格取得基準に基づいたスクールです。

現在、STATとその提携協会に所属する会員は、33の国と地域におよそ3000人で、アレクサンダーテクニークの国際機関として規模も最大です。

STATの資格認定基準では3年間で1600時間以上、フルタイムカリキュラムなどを遵守する必要があります。

ATI(Alexander Technique International)

もう一つは、ATI(Alexander Technique Internatinal)という国際機関が認定するスクールです。

ATIの資格取得基準はSTATと比べ柔軟性があり、資格取得期間は決まっておらず1600時間の学習時間を個人のペースによって消化すれば良いことになっています。

資格取得期間は3〜10年ほどと人によって幅があり、かなり柔軟なスクール体制になっています。

土日を中心にパートタイムで取得できるコースもあり、働きながら資格を取得することができます。

https://body-use.com/alexander-techniks-way/

BodyChance

筆者が教師資格を取得したスクールはBodyChance(ボディチャンス)という世界最大のアレクサンダーテクニーク教師養成スクールです。

日本人の経験豊富な教師と世界中から一流のアレクサンダーテクニーク教師が定期的に来日し学ぶことが出来ます。

筆者はフルタイムとパートタイムを併用しながら4年をかけて教師資格を取得しました。

ボディチャンスでは3人のマスター教師による認定試験合格後に資格を取得することが出来ます。

現在は筆者も非常勤の講師としてボディチャンスの教師養成クラスで定期的に教えています。

筆者が運営する指導者養成コース

アレクサンダーテクニークに興味はあるけど、そこまで時間も費用もかけれないという方もおられると思います。

筆者はアレクサンダーテクニークのエッセンスを凝縮した短期間で取得できる独自の資格認定コースを定期的に開催しています。(アレクサンダーテクニーク教師資格ではなく、筆者独自の資格認定コースになります。)

詳細は下記のリンクから見ていただけます。
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卒業後の活動

教師資格を取った後の活動としては、大きく以下の3つのパターンに分かれます。

  1. 専門の仕事を持ちながら、アレクサンダーテクニークの技術を取り入れる
  2. 自分自身の生活の質やパフォーマンスを向上させる為に活用する
  3. アレクサンダーテクニークを教えることを職業とする

専門の仕事を持ちながら、アレクサンダーテクニークの技術を取り入れる

他に専門の仕事を持ちながら、アレクサンダーテクニークを取り入れる形で活かされている方は多いです。

例えば音楽講師の方が音楽のレッスンにアレクサンダーテクニークを取り入れたりながら教えたり、ヨガ講師の方が動きの指導に活かしたりするといった形です。

また理学療法士や柔道整復士などのような治療に携わる方が施術の中にアレクサンダーテクニークを取り入れるという方もおられます。

アレクサンダーテクニークで学ぶ身体の使い方は、あらゆる技術の土台になるものなので、体を使うものであれば何にでも有効だと言えます。

自分自身の生活の質やパフォーマンスを向上させる為に活用する

自分自身のパフォーマンス向上の為により深くアレクサンダーテクニークを学ぶ為に教師コースに参加されている方も多くいらっしゃいます。

どんなものでもそうですが、人に教える為には深い理解が必要です。

教えるという目的を持つことで学びもより深くなります。

アレクサンダーテクニークを教えることを職業とする

実はアレクサンダーテクニークのみを専門に職業にされている方は非常に少ないのが現状です。

その理由は、まだまだ世間的にアレクサンダーテクニークの認知が少ないということと伝え方の難しさにあると筆者は考えています。

ちなみに筆者はアレクサンダーテクニークを教えることのみを専門に仕事にしている数少ない教師の一人です。

筆者がアレクサンダーテクニークを教えることを専門としている理由は、アレクサンダーテクニークが全ての人の日常生活やパフォーマンスの質の向上に役立ち人生を豊かにするものであり、より多くの人に伝えていきたいと考えているからです。

まとめ

  • アレクサンダーテクニークを教えられるようになるには教師養成コースに参加する必要がある。
  • 期間は概ね3〜4年1600時間、費用は300〜400万円が目安になる。
  • 資格取得後の活動は、アレクサンダーテクニークを専門に教えたり、自身の仕事に取り入れたり、教えることはせず自身のパフォーマンス活動に活かす等がある

アレクサンダーテクニークに興味はあるけど、そこまで時間も費用もかけれないという方もおられると思います。

筆者はアレクサンダーテクニークのエッセンスを凝縮した資格取得コースを定期的に開催しています。

興味のある方は優先的にご案内をいたしますので、下記のメルマガにご登録ください。




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【厳選7冊】アレクサンダーテクニークの学べる本

最近ではアレクサンダーテクニークに関する様々な本が出版されています。

アレクサンダーテクニークに興味があるけど、もっと詳しく知るにはどんな本がお薦めなの?

本を読んでどこまで分かるの?

今回は、このような疑問にお答えします。

この記事を書いている土橋は、2012年からアレクサンダーテクニーク講師として教え始め、これまで1,000人以上の方にレッスンを行っています。

アレクサンダーテクニークお薦め本7選

同じアレクサンダーテクニークでも著者によって伝え方はかなり違います。

興味がある方は以下に紹介する本を是非いくつか読んでみてください。

演奏者のためのはじめてのアレクサンダー・テクニーク

著者の石井ゆり子さんは、日本でもベテランのアレクサンダーテクニーク教師です。アレクサンダーテクニーク特有の概念も分かりやすく平易な文章で書かれています。演奏者だけでなく全てのパフォーマーにとって参考になる本です。

[jin-button-bound visual=”bound” hover=”down” radius=”50px” color1=”#54dcef” color2=”#0794E8″ url=”https://www.amazon.co.jp/演奏者のための-はじめてのアレクサンダー・テクニーク-からだを使うのが楽になる-石井-ゆりこ/dp/4636900944″ target=”_self”]詳細はこちら[/jin-button-bound]

同じ著者石井ゆりこさんのこちらの本もオススメです。

実感-無駄な力がぬけてラクになる介護術-毎日の「からだの使い方」からはじめる-石井-ゆりこ

日常生活で体を楽に使うヒントがたくさん書かれています。介護に携わる人だけでなく、全ての人に参考になる本です。

アレクサンダー・テクニーク入門―能力を出しきるからだの使い方 (実践講座)

著者のサラ・バーカーはピッツバーグ大学で演劇を教えている教師であり、俳優です。無理・無駄のない歩き方・立ち方・座り方・横になり方・食事の仕方・歯をみがく・階段ののぼりおり・扉をあけるなどの日常動作のヒントが写真付きで分かりやすく紹介されています。この記事を書いている土橋も何度もレッスンを受けたことがあります。ユニークで優しさ溢れるレッスンが印象的な大好きな先生です。
[jin-button-bound visual=”bound” hover=”down” radius=”50px” color1=”#54dcef” color2=”#0794E8″ url=”https://www.amazon.co.jp/アレクサンダー・テクニーク入門―能力を出しきるからだの使い方-実践講座-サラ-バーカー/dp/4904117166″ target=”_self”]詳細はこちら[/jin-button-bound]

こちらのエクササイズDVDもお薦めです。

DVD-サラ・バーカーのアレキサンダー・テクニーク入門-日本語版-片桐ユズル

心と体の不調を解消するアレクサンダー・テクニーク入門

できるだけ誰でも実践しやすいようにメソッド化して書かれています。すぐに実践できるヒントがたくさん紹介されています。心の問題・体の問題両方に役立つでしょう。著者の青木紀和さんは同じアレクサンダーテクニークの学校の先輩です。
[jin-button-bound visual=”bound” hover=”down” radius=”50px” color1=”#54dcef” color2=”#0794E8″ url=”https://www.amazon.co.jp/心と体の不調を解消するアレクサンダー・テクニーク入門-青木-紀和/dp/4534052421/ref=sr_1_2?__mk_ja_JP=カタカナ&dchild=1&keywords=青木+アレクサンダー&qid=1597442732&s=books&sr=1-2″ target=”_self”]詳細はこちら[/jin-button-bound]

イラストでわかる疲れないカラダの使い方図鑑

日常動作を疲れずに楽に行う為のカラダの使い方がイラストで描かれていて、イメージしやすく実践しやすいです。
アレクサンダーテクニークのベストセラー本です!
[jin-button-bound visual=”bound” hover=”down” radius=”50px” color1=”#54dcef” color2=”#0794E8″ url=”https://www.amazon.co.jp/イラストでわかる疲れないカラダの使い方図鑑-木野村朱美/dp/4262165736/ref=sr_1_8?__mk_ja_JP=カタカナ&dchild=1&keywords=疲れない体&qid=1597442298&sr=8-8
” target=”_self”]詳細はこちら[/jin-button-bound]

ピアニストのためのアレクサンダー・テクニーク

著者の森朝さんは、ドイツで活躍されているピアニストでアレクサンダーテクニーク教師です。ボディマッピングのことや、アレクサンダーテクニークの考え方、演奏のパフォーマンスを発揮する為のヒントなど、本質的な内容を平易な文章で分かりやすく書かれています。ピアニスト以外の演奏者、アーティストの方にもお薦めです。

[jin-button-bound visual=”bound” hover=”down” radius=”50px” color1=”#54dcef” color2=”#0794E8″ url=”https://www.amazon.co.jp/ピアニストのためのアレクサンダー・テクニーク-森-朝/dp/4636935861
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アレクサンダー・テクニーク-やりたいことを実現できる自分になる10のレッスン

著者の小野ひとみさんはアレクサンダーテクニーク関連の本では有名な音楽家ならだれでも知っておきたい「からだ」のことの翻訳者です。アレクサンダーテクニーク独特の概念が対話形式で書かれています。アレクサンダーテクニークは生き方としての一つの哲学と言えますが、考え方として理解するのにはお薦めの本です。
[jin-button-bound visual=”bound” hover=”down” radius=”50px” color1=”#54dcef” color2=”#0794E8″ url=”https://www.amazon.co.jp/アレクサンダー・テクニーク-やりたいことを実現できる%E3%80%88自分〉になる10のレッスン-小野-ひとみ/dp/4393935020″ target=”_self”]詳細はこちら[/jin-button-bound]

自分のつかい方

F・M・アレクサンダー氏本人によって書かれた本です。アレクサンダーテクニークがどのような過程で発見され体系化されていったか、アレクサンダー氏自身の経験を元に紹介されています。自分自身の体を実験材料として、様々なアプローチを実験・観察し、改善していく科学者のような精神が探求の仕方としてもとても参考になります。アレクサンダーテクニークの本質をより深く知りたいという方にお薦めです。

[jin-button-bound visual=”bound” hover=”down” radius=”50px” color1=”#54dcef” color2=”#0794E8″ url=”https://www.amazon.co.jp/自分のつかい方-鍬田かおる/dp/4893803662/ref=sr_1_3?__mk_ja_JP=カタカナ&dchild=1&keywords=自分の使い方&qid=1597443069&sr=8-3
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[box06 title=”あわせて読みたい”]【精選5冊+α】ボディマッピングの学べるおすすめの本[/box06]

ブログで学べるお薦め記事

アレクサンダーテクニーク2つのやり方と3つの特徴

こちらは本ブログ記事です。
アレクサンダーテクニークの基本的な考え方を理解することができます。
まずはどんなものか知りたいという方はこちらから読んでみてください。

さらに深く学びたい方へ

ここまでアレクサンダーテクニークのお薦め本を紹介してきました。

どの本もとても良い本で人生のあらゆる場面で役立ちますので、是非読んで頂きたいです。

とはいえ、実際にアレクサンダーテクニークのレッスンを受けられた方の感想で多いのが、「レッスンを受けて初めて本に書かれていた内容が体の実感として繋がりました。」というものです。

本で書かれている内容は、あくまで知識です。

知識だけでももちろん有効ですが、やはり体感を伴うことで理解もグッと深まります。

本を読んでさらに興味を持ったという方は実際にレッスンを受講することをお薦めします。

楽器演奏者にもたらすアレクサンダーテクニーク3つの効果

ジュリアード音楽院やロンドン音楽演劇学院など世界一流の音楽学校で必須の授業として取り入れられていることなどから楽器演奏者の間では、認知が高いアレクサンダーテクニーク。

今回は実際にアレクサンダーテクニークが楽器演奏にどのように役立つのか?についてお伝えします。

アレクサンダーテクニークとは?

アレクサンダーテクニークは一言でいうと、姿勢や体の使い方を学ぶメソッドです。
動作時の痛みの改善やパフォーマンス向上に効果を発揮します。

[box06 title=”あわせて読みたい”]アレクサンダーテクニークとは【その歴史と3つの効果】[/box06]

この記事を書いている土橋は、これまで1000人以上の方にアレクテクニークのレッスンを行ってきており、その内の半分以上が楽器演奏者の方です。

これまでに、ピアノ、チェンバロ、ヴァイオリン、ギター、ベース、チェロ、トランペット、ホルン、クラリネット、オーボエ、ドラム、チェンバロ、リコーダー、二胡、龍笛などの楽器演奏者に教えてきました。

アレクサンダーテクニークが楽器演奏にどのように役立つか解説します。

アレクサンダーテクニークは楽器演奏者のこんな悩みを改善します

これまで演奏者の方から以下のような悩みをお聞きしてきました。

  • 演奏時に体に痛みがある
  • 本番であがってしまい、普段の力を発揮できない
  • もっと綺麗な音色で演奏したい
  • 楽器の先生の言う通り演奏できない
  • 早いフレーズで指が回りにくい
  • 高音を出す時に体が固くなる
  • もっと短時間で効率的に演奏したい
  • 最後までバテずに演奏できるようになりたい
  • 体の知識に基づいた正確な指導がしたい

1つでも当てはまるものがあれば是非この先も読み進めてください。

次にどんな楽器にアレクサンダーテクニークが役立つのか?について見ていきます。

楽器演奏者にとってのアレクサンダーテクニーク

アレクサンダーテクニークは全ての楽器の演奏パフォーマンス改善に役立ちます。

なぜなら、それぞれの楽器の演奏技術について学ぶわけではなく、演奏の動きの土台となる根本的な体の使い方を学ぶレッスンだからです。

それぞれの楽器によって演奏技術は異なりますが、根本的な体の使い方そのものはどんな楽器にも共通します。

楽で自然な体の使い方を身につけることで、演奏で必要とされる技術がより効率的に出来るようになります。

[box06 title=”あわせて読みたい”]ボディマッピング<パフォーマンスを発揮するには、まず思い通りに体を動かせるようになろうという武井壮さんのお話>[/box06]

具体的にどのように楽器演奏に役立つのか?その効果を詳しく見ていきます。

アレクサンダーテクニークの効果

代表的な効果として次の3つを見ていきます。

  • 演奏時の痛みの改善
  • あがり、緊張の解消
  • パフォーマンス向上

演奏時の痛みの改善

レッスンを受講される理由として一番多いのは、「演奏時の体の痛みを改善したい」という相談です。

楽器によってはかなり身体に無理がかかる体勢で同じ動作を繰り返すので、適切な体のバランスが取れていないと痛みが生じすいです。

ですが、体本来の構造に沿って楽に自由に演奏できる体の使い方が分かれば、身体の痛みは自ずと改善されます。

大切なことは、特定の演奏技術を行う為に、体を犠牲にしないということです。

別の言い方をすると下記のように意識することが大切です。

体の楽さを優先させながら演奏するという意図を持つ

体のことも気にかけながら、演奏するというと一見難しそうに聞こえるかも知れません。

ですが実際にレッスンを受けて具体的なやり方を知ればそれほど難しいことではありません。

多くの演奏時の痛みはレッスンの早い段階で改善して行きます。

あがり、緊張の解消

次に相談を受けることが多いのが「本番での緊張」です。

演奏者として本番の舞台に立たれたことのある多くの人が経験される悩みでしょう。

ここで考え方として大切なのが以下になります。

本番で緊張すること自体になんら問題はない

多くの人の前で演奏するには、エネルギーが必要です。

本番での緊張は、上手く使えば本番でパフォーマンスを発揮する為の必要なエネルギーになります。

アレクサンダーテクニークのレッスンは、あがりの解消にとても有効です。

これまで僕のレッスンを受けられたほとんどの方があがりの悩みを克服されています。

アレクサンダーテクニークであがりが改善される大きな理由は以下になります。

体の緊張をやめることで、心の緊張もやめられるようになる

本番で心が緊張していれば、その緊張は必ず体にも表れます。

心の緊張は目に見えず、直接やめることはなかなか難しいですが、体の緊張は目に見えますし、実際に体感できるものです。

体本来の自然な使い方を知ることで、体の緊張に気づいてその緊張をやめ、同時に心の緊張もやめることが出来るようになるのです。

パフォーマンス向上

多くの演奏者が無意識のうちに体を余分に緊張させて、演奏をしています。

(無意識に)体を余分に緊張させながら演奏することは、ブレーキを踏みながらアクセルを同時に踏んでいるようなものです。

ブレーキを踏むことをやめることで、アレクサンダーテクニークで身体の余分な緊張をやめることができると、効率的にやりたい演奏が出来るようになります。

僕のレッスンを受講して頂いた方からも下記のように様々な場面でパフォーマンスが改善したとの声を頂いています。

  • 早いフレーズでも指が回りやすくなった
  • 音色が美しくなった
  • 高音が力みなく楽に出せるようになった
  • 疲れずに最後まで楽に演奏できるようになった

実際のレッスンの様子

レッスン体験談

演奏は体の動きによって生み出されるものです。

ですので演奏時のあらゆる問題は効率的に体が使えるようになることで、改善しやすくなります。

演奏者が思っていることを表現する為に身体の自然な動き方を知ることは、必須の知識と言えるでしょう。

最後に実際にこのような効果を得るまでどのくらいの期間が必要なのか?についてお伝えします。

アレクサンダーテクニークを習得するには?

アレクサンダーテクニークを習得すること、つまりこれまでの習慣的な身体の使い方(癖)をやめ、新たな身体の使い方を習得するにはある程度時間がかかります。

また、身体の使い方は演奏と同じで学びに終わりはなく、限りなく向上していくものです。

学べば学ぶほど、より繊細に深いレベルで身体の使い方の質は変化し続けていきます。

とはいえ、目安として10〜12回程度レッスンを受講して頂くと、痛みの改善や本番でのあがりの解消といった効果を実感して頂けることが多いです。(効果には個人差があります。)

レッスンを受講するペースとしては、始めのうちはどうしても忘れやすくなるので週1回程度、慣れてくれば2週に1回程度の受講をオススメしています。

また、アレクサンダーテクニークの効果を自分一人でも再現出来るよう定着させるには月2回程度のレッスンを1年間ほど継続して頂くことを推奨しています。

まとめ

  • アレクサンダーテクニークはあらゆる楽器演奏のパフォーマンス向上に効果がある。
  • それぞれ演奏技術について学ぶものではなく、演奏の動きの土台となる体の使い方そのものについてのレッスン。
  • 効果として、演奏時の痛みの改善、あがり症の解消、パフォーマンス向上が期待できる。
  • アレクサンダーテクニークを習得するには、ある程度時間が必要になる。

演奏していると体に痛みがある、本番になると緊張してパフォーマンスが発揮できない、これまでの練習に行き詰まりを感じている、といったことでお悩みの方は、是非一度お問い合わせください。

アレクサンダーテクニーク2つのやり方と3つの特徴

アレクサンダーテクニークが一体何をするものなのか?は実際に受けた人にしか分からないというのが現状です。

今回はアレクサンダーテクニークを受けたことがない人でもできるだけイメージが出来るようにアレクサンダーテクニークレッスンのやり方を紹介します。

この記事を書いている土橋はアレクサンダーテクニーク教師養成校としては日本最大のスクールであるBodychanceでアレクサンダーテクニークの教師資格を取得し、これまで1,000人以上の方にレッスンを行ってきました。

そもそもアレクサンダーテクニークって何?という方はこちらの記事から読んで下さい。[box06 title=”あわせて読みたい”]アレクサンダーテクニークとは【その歴史と3つの効果】[/box06]

アレクサンダーテクニークは一言でいえば体の使い方を学ぶレッスンです。

どのように体の使い方を学んでいくかというと大きく2つのやり方に分かれます。

アレクサンダーテクニークには大きく2つの流派があって、流派によってかなり学び方が違うのです。

アレクサンダーテクニーク<レッスンの2つのやり方>

一つは、立つ・座るというシンプルな動きを繰り返し、ひたすらに人間の自然な動きを探求していく流派です。

もう一つは、生徒(クライアント)が改善したいと望む日常動作や演奏、ダンス、スポーツなどのパフォーマンスの質をより良くすることを探求していく流派です。

それぞれ解説していきます。

1、立つ、座る動きを反復し人間本来の自然な動きを追求する

立つ・座る、あるいは横になる(寝る)というシンプルな動きを繰り返し、ひたすらに人間の自然な動きを探求します。

なぜ立つ、座る、横になるという動きだけをひたすらに探求するのか?

人間の主な体勢・動きは、座っているか、立っているか、あるいは立つと座るの間にいるか、そして寝ているか?に分かれます。

ですのでこの基本動作を徹底的にマスターすることが体の使い方を理解することに繋がるのです。

レッスンでずっと立つ・座ることだけをやっていて飽きないのか?という疑問もあると思いますが、それが意外と楽しいんです。(個人差があります。)

というのは効率的な立つ・座る動きの探求を通して余分な緊張を手放していくと、体はとても心地良くなり、動きはとても軽やかになります。

身体が統合され、心地良い状態になると、心も安定し満たされます。

動きのレッスンを通していわゆるマインドフルネスな状態を実現するのがアレクサンダーテクニークなのです。

このスタイルによる学び方は、主にSTAT(Solidarity of Teachers of the Alexander Technique)というアレクサンダーテクニークの協会に所属するアレクサンダーテクニーク教師によって指導されています。

2、生徒の身体の悩みやパフォーマンスに関する問題解決・目的達成型のレッスン

もう一つは、生徒の望みに対して、体の使い方の観点から望むパフォーマンスの実現をサポートする学び方です。

コーチング型のレッスンスタイルで、レッスンの流れとしては、下記のような流れになります。

  1. カウンセリングによる現状把握
  2. 実際の動作の分析
  3. 体の仕組みの説明
  4. 実際の動きに応用する

という順番でレッスンを進めます。

レッスンで取り扱うテーマは、歩く、話す、歯を磨くといった日常動作から、演奏者やダンサーのパフォーマンス時の痛みの改善やパフォーマンス向上、アスリートの怪我の予防やパフォーマンス向上まで多岐に渡ります。

生徒の望む動きの質の向上に取り組むことで、自然な体の使い方を修得していきます。

このスタイルによる学び方は、主にATI(Alexander Technique Internatinal)というアレクサンダーテクニークの協会に所属するアレクサンダーテクニーク教師によって指導されています。

この記事を書いている土橋はこのスタイルで日本最大のスクールであるBodychanceでアレクサンダーテクニークの教師資格を取得しました。

どちらの流派も身体の自然な使い方を身につけるという点では同じですが、立つ・座る動作を繰り返すレッスンスタイルは、職人的に動きの本質を体得していくことを重視してるのに対し、問題解決・目的達成型のスタイルのレッスンでは生徒の目的達成と体の使い方の改善を直結させているので、より即効的で実践的であると言えます。

レッスンのイメージを掴むには下記のレッスン紹介動画を参考になります。

アレクサンダーテクニークレッスンの特徴

アレクサンダーテクニークは他の手技療法やボディワークにはない独特な哲学があります。

ここでアレクサンダーテクニーク特有のレッスンの特徴や考え方をいくつか紹介します。

抑制(インヒビジョン)

アレクサンダーテクニークは、何か正しい姿勢を身につけたり、特定のトレーニングを繰り返せば出来るようになるというものではありません。

自分自身の体の状態や動きを観察し、何か余分な緊張があれば、その緊張に気づいてそれを辞めるようにする、そうすることで人間本来の楽で自由な姿勢や動きが自然に表れてくる、という考えに基づくレッスンです。

アレクサンダーテクニークで言う抑制とは、下記のように言うことが出来ます。

余分な緊張=癖として身につけた習慣的な身体反応を辞めること

私たちは何かをしようとする時、無意識に習慣的な身体の反応(癖)=不必要な緊張が起こります。

この不必要な緊張が、やりたい動きを効率的に行うことを妨げているのです。

このような習慣的な反応が起きることを抑制することが、やりたい動きを効率的に実現する為の最初のステップになると考えます。

身体の全体性

身体は部分の集まりとして存在するわけではありません。

例えば、肩が痛いという症状があったとしても、問題は肩だけにあるわけではありません。

肩は胴体と繋がっていて胴体の上に頭があり、胴体の下には脚があります。

というように身体は全身が繋がっています。

アレクサンダーテクニークでは、身体を全身が繋がっている一つの有機体だと考えます。

身体全体に意識があり、全身が協調しながら動けると、とても心地良いです。

身体全体に気づきがあるいわゆるマインドフルネスな状態で動けることを目指します。

ハンズオン

上記のような考え方はただ概念として存在するわけではなく、身体感覚として実感することが出来ます。

アレクサンダーテクニークのレッスンでは、教師が生徒に触れることによって全身が協調して動ける感覚を情報として伝えます。

アレクサンダーテクニーク教師は、このアレクサンダーテクニーク特有の触れる技術をマスターするのに約1,600時間もの時間をかけて学びます。

まず自分自身の身体の面倒を見れるようになって全身の協調性を動けるようになることで初めて、その身体感覚を人に触れて伝えることかとが出来るようになるからです。

アレクサンダーテクニーク教師の訓練されたタッチはハンズオンと呼ばれ、生徒を無理なく楽で自由な動きに導く為の強力なサポートになります。

まとめ

・アレクサンダーテクニークのレッスンには、下記の2つの学び方がある。

  1. 立つ、座る、横になるといった基本動作を繰り返し探求する
  2. 生徒の目的に応じて、効率的な体の使い方を伝える

・レッスンでは抑制、全体性、ハンズオンといったアレクサンダーテクニーク特有の体験を通して学んでいく。

ここまでアレクサンダーテクニークのやり方についてお伝えしてきましたが、やはり体験を通して学んでいくレッスンですので実際に体でも体感したいという方は是非レッスンを受けてみてください。

アレクサンダーテクニークは効果なし?実感できない3つの原因

近年日本でも少しずつ認知されてきているアレクサンダーテクニークですが、レッスンを受けて劇的にパフォーマンスが向上したという声もあれば、一方で効果を実感できないという声も聞きます。

両者の違いはなんなのでしょうか?

今回はアレクサンダーテクニークの効果を実感できない理由とどのようにすれば確実に効果を得られるのかについてお伝えします。

アレクサンダーテクニークのレッスンの原理

アレクサンダーテクニークの効果を考えていく為に、まずアレクサンダーテクニークのレッスンの原理から見ていきます。

思っていることが体の状態や動きに表れる

これはアレクサンダーテクニークの基本的な考え方の一つです。

「思っていることが表れる」なんて言うと、まるで宗教や自己啓発か何かか?と思われる人もいるかもしれません。

ですが、これは単純に

脳の認識していることが体の状態や動きに反映されている

というごく当たり前のことを言っているだけで、決して怪しいものではありません。(笑)

アレクサンダーテクニークはこの脳の認識へ直接アプローチするレッスンです。

ここで脳の認識には意識出来ている部分と無意識の部分があります。

この自分では無自覚な無意識に行っている緊張や不必要な動きの癖にスポットライトを当て、無意識を意識化することで、動きの再教育を行っていくのがアレクサンダーテクニークです。

脳の認識を意識的に変えることで、動きを変えるとはどういうことか?

具体的な例で見ていきます。

脳の中には体をどのように認識して、どのように動けば良いかが描かれている体の地図(ボディマップ)があります。

ボディマッピング<脳の認識を変えることで動きが変わる>

私たちはこの脳の中になる体の地図に従って、体を認識し動いています。

この体の地図は意識的に作り変えていくことが出来、そのことをボディマッピング(体の地図作り)と呼んでいます。

例えば、あなたは背骨の一番上の高さがどの位置まできているか知っていますか?

背骨の一番上だと思う高さを指で指して、その高さをキープしたまま指を顔の前まで持ってきて下さい。

顎の辺りですか?鼻の辺り?目の辺りでしょうか?

実際には下記の位置になります。

頭と背骨の接点

およそ鼻の中央で目の下の高さになります。

また、横から見ると、耳と耳の間の辺りで、背骨の一番上と頭が出会っています。

意外と上の方にあると思った方も多かったのではないでしょうか?

頭の動きは実際にはこの高さから始まります。

でも、顎の辺りだったりもっと下の方で動くと思っていると、首の上の方を固めたまま頭を動かすことになります。

参考動画

このように間違った体の地図(イメージ)を修正して、解剖学的に正しい身体の構造に地図を作り変えていくのがボディマッピングです。

ボディマッピングは私のアレクサンダーテクニークのレッスンの中でも多用するアプローチの一つです。

ボディマッピングについては下記の記事が参考になります。

https://body-use.com/what-is-body-mapping/

アレクサンダーテクニークのレッスンで効果を実感できない理由

それではレッスンを受けて効果を実感できないという場合には何が起きているのでしょうか?

大きく3つが考えられます。

1、脳の認識(ボディマップ)が変わっていない

例えば上の例で、頭を鼻の高さから動かそうと思っていても、実際にはその位置から動かせていないということがあります。

動かそうと思っている場所のイメージがわずか数mmずれているだけでも動きの質は大きく変わります。

体の構造と動きのイメージが正確に一致していなければ不必要な緊張が生まれるのです。

その場合、効果を実感できないということになります。

アレクサンダーテクニークのレッスンでは、アレクサンダーテクニーク特有のタッチで生徒さんに触れて身体感覚を伝えることで、このイメージと身体感覚が一致するようにしていきます。

ただ、長い時間をかけて身に付けてきた体の癖は、とても根深いものなので変化するには時間がかかります。

一度変化が起こっても、またすぐに以前の癖が戻ってきてしまうのです。

ですので、根本的に変化するには、ある程度時間をかけてレッスンで新しい身体感覚を体験し、繰り返し意識することが大切になります。

そうすることで新しい神経回路が作られ、ボディマップが変わって来ます。

2、違いを認識する身体感覚の欠如

動きや体の状態が変化しているのに、その違いが認識できないと言う場合もあります。

そもそも日常生活から体に意識を向けるということをやっている人は多くはありません。

体の痛みや不調などが出てきて始めて体に注意が向くという人も多いです。

だから体の意識を変えて動いても、何が変化したのか分からないということも多くあります。

楽な動きとそうではない動きの違いを認識できるようになる為には、まずは繰り返し楽な動きを体験することが必要です。

何度も繰り返し体を意識して動かし、楽な動きを体験することで、身体感覚が育ってきて、動きの違いを認識できるようになってきます。

3、効果を判断するものを身体感覚だけに頼っている

体の感覚は個人差があり曖昧なものです。

なので結果を体の感覚のみで判断すると違いが分からないということがあります。

例えば首の動きが楽になったかどうか?で判断するのではなく、首を動かした時に見える範囲がどれくらい広がったか?というように視覚的に判断できるものなどで結果を判断すると良いでしょう。

また楽器演奏においては動きが変わると、音が変わります。

この音の変化は違いとしてかなり分かりやすいので、これもアレクアンダーテクニークが音楽家に支持されてきた理由の一つだと思います。

効果を判断するには、身体感覚だけでなく、視覚や聴覚を使っても判断できるようにするようにしましょう。

まとめ

●アレクサンダーテクニークの効果を実感できない理由には次の3つが考えられる。

  • 1、脳の認識が変わっていない
  • 2、違いを認識する感覚が欠如している
  • 3、効果を判断するものを身体感覚だけに頼っている

●効果を実感できるようになるには?

「思っていることが体の状態や動きに表れる」という原則に基づけば、思っていることが変われば必ず変化は出ている。

楽に動ける体験を繰り返し違いを認識できる身体感覚が育てば、変化は実感できるようになる。

今回はアレクサンダーテクニークの効果を実感できない理由についてお伝してきましたが、効果を確かめる一番良い方法は実際にレッスンを受けてみることです。

興味を持たれた方は是非一度ご相談ください。